ピース設置RPGカケラの塔制作の2週間の製作過程とプレイデータ集計

この記事は2022/12/04に公開したパズルRPGゲームカケラの塔の制作記録です。

このゲームは前作ダンジョンボンバーと同様、めちゃくちゃ面白いのでぜひ一度遊んでご感想いただけますと幸いです。

下の画像をクリックして遊んでみてね。

自分はローグライトパズルゲーム制作が得意なのかもしれない

前作「ダンジョンボンバー」を完成させたあたりから「ちゃんとゲーム性を重視した繰り返し遊べるものを作ろう」という気概が一段と高くなっていた。この気概で制作したゲームが12/4に公開したカケラの塔である。

ちなみに前作ダンジョンボンバーはこんなドット絵調の画面。

▲ダンジョンボンバーのゲーム画面

前作の記事でも書いたが「昨今のヴィジュアルやらストーリーの話題性で人を集める方法に敢えて歯向かってみよう。ゲーム性にめちゃくちゃ重視して、逆にサムネとかアイキャッチを絶望的にダサくする反抗精神の塊でやっていこう」という常識を蹴り上げるようなゲームを制作した。

それがダンジョンボンバーである。正直今振り返るともう少し可愛いイラスト作ったり世界観凝った方が良かったんじゃないかと反省している。

こうして完成した前作、ダンジョンボンバーは「ローグライトゲーム」というジャンルが共通認識として根付いていなかったら流行らなかっただろうというくらいゲーム性に特化した作品である。

ゲームの面白さというものは基本的に遊ばないと伝わらないものである。

ダンジョンボンバーというゲームの面白さの原理は「爆発でブロックを壊すと面白い」という破壊衝動と「爆発コンボが偶発的に重なると快感」という射幸心と「ちゃんと頭使って敵を倒す」という試行錯誤の楽しさが合わさってできたものだが、このような文章を人にセールストークしても基本的には遊ばれにくいものである。そもそも人間は遊んだことのないゲームの説明を受けても理解することができない。

ただ、ローグライトゲームというジャンルを用いて説明してしまえば、「ああ、風来のシレンとかslay the spireみたいなゲームか」と過去の同ジャンルでくくられたゲーム体験を思い出して、その体験から面白そうだと思ってもらえるのだ。ゲームにジャンルを定義すると、過去の経験を思い出させる効果があるのだ。

ゲームを遊んでもらう宣伝活動において、ジャンルでゲームを説明する一番の意味は「そのジャンルで過去面白かった体験と同じ体験ができる」ということを伝える目的がある。これがとても大きい。

前回はこの原理を利用して「ローグライトパズルゲーム」というキャッチーな宣伝文句のみにして、その他本来ならば宣伝のために用意すべきだった「魅力的なヴィジュアル」と「興味そそるシナリオ」を強引に抜き去って制作したのだ。理由はただの反骨精神である。正直無駄であるが、こういった精神を糧にするからこそ創作し続けられているのだと思っている。

ただ、ありがたいことにこのゲームはとてもうまくいった。自分が長くゲーム制作していたので、そのブランディング効果から遊んでくれた人も多かったと思うのだが、結果的にうさぎパズル並のアクセス数を獲得したので、ゲーム性を信じれば行けると思いなおして同じゲーム性全振りで次回作を作ることにした。これが「パズルRPG カケラの塔」である。

長い序文を書いたが、要約すると「ゲーム性がちゃんと面白いものを作ろう!」ということである。冒頭の文章いらんかったなこれは。

カケラの塔完成までのダイジェスト

ダンジョンボンバーの公開が11/4で、その後しばらくアップデートを重ねていたので、11/15くらいから制作を開始した。

ここからは、このゲームの着想について書いていく。

以前からボードゲームでマスの中を色々な模様で埋めていくゲームがあることは知っていた。マスを埋めた模様の形で得点を獲得するゲームジャンルがボードゲームにはあるのだ。

ただ、このジャンルの一般的な総称を知りたいのだが、探してもわからなかった。近いゲームジャンル名として紙とペンでマスに模様を描いていく紙ペンゲームというものがあるのだが、紙やペンを使わないでマスにタイルを配置するゲームもあったりする。マスの中にタイルを設置するのでタイル設置ゲームとも呼ばれているようだ。

紙ペンゲームというジャンルはボードゲームでよく遊ぶ人でないと聞きなれないジャンルかと思う。代表例としてカートグラファーというゲームを説明する。このゲームはマスの中に指定した形の町とか、森などの地形を書いていって、それが特定の並びになると得られる得点を競うゲームである。

興味ある方は一度調べてみよう。

また、タイル設置ゲームという「色々な形のタイルを設置して、指定の並びにして得られる得点を競うゲーム」もある。アリスガーデンというゲームがこのジャンルに入る。

紙やペンを使わないので、こちらの方が個人的に好みではある。

こういったマスの中に色々な形を設置していくゲームを見ていると、どうやら「マスに色々な形のタイルを埋めて、決められた並びにしていくのは楽しい」という面白さがあるようだ。

ところで、自分はなんでもRPG戦闘と結びつけるのが好きだ。かつてドミニオンが流行った数年後の2011年くらいにドミニオンのデッキ構築とRPG要素を組み合わせた「カードの不思議なダンジョン」というゲームを開発した位である。slay the spireよりもだいぶ前にデッキ構築RPGの可能性を切り開いたのは我ながらすごいと思ってるが、残念ながら当時は覚悟のない大学生だったので、ここから更に先の発展はなかった。slay the spireの成功を見て正直かなり後悔したものだ。

・カードの不思議なダンジョンのリメイク作 「黄泉からの帰還」はこちらから遊べます

https://hothukurou.com/game/HTMLCard/index.html

話を戻して、こんな自分の着想から考えると、「決められた並びにすると、ライフとか攻撃力などの戦闘ステータスが向上する」という着想は結構自然な展開かと思う。

並び方についてだがシンプルな方が絶対に楽しい。複雑な並びだと理解に時間がかかるし、理解に時間がかかると脳が拒否して面白さを感じない人も世の中には多くいる。

そのため、今回揃える形は直線・四角・斜めの3種類にした。これならとてもシンプルで覚えやすい。

剣は攻撃力、盾は守備力、薬は戦闘後のHP回復量である。また、ピース設置数によってHPも増加する。

この4つのパラメータを戦闘ステータスとして、敵と戦っていく。

防御力となるシールド値だけ4マス必要にしたことがミソである。今回戦闘のダメージ計算式は単純には「攻撃-防御」となっているのだが、この計算式だと基本的に防御力を上げると有利になりがちであるため、剣や薬と比べて防御力を上げる難易度だけ少し高くしている。

薬の数値は、戦闘後に回復するHP量である。他にHP回復手段がないため、一見するとかなり重要なステータスであるのだが、実は序盤はそこまで頑張って取得する必要がない。

なぜならば、ピース設置でHP最大値が増加する度にHPも増加しているためである。序盤は3つの宝石がついたピースを設置するため、+3ずつHPが増えていくことになり、このくらいの回復量があれば序盤はHP回復量が初期値でもだいぶ持ちこたえることができる。

このあたりのゲームバランスのアイデアは健康ランドでゆっくりしているとよく思いつくので、やっぱりゲーム制作者はもっと健康ランドに行くとよいと思う。サウナ入って水風呂入った後に露天スペースでぼーっとするとたいていこの手のアイデアが浮かんでくるのだ。サウナ駆動開発である。

さて、実際の開発スケジュールに戻ると、11/21にはピース設置アルゴリズムが完成していた。

このピース設置アルゴリズムがこのゲーム制作で一番めんどそうだなと危惧していたので、11/15から11/21までの6日間でだいぶ設計に悩んで手を動かさなかった。ただ、実際腹をくくって実装したところ、意外と数時間程度で実装できた。着手するとすんなり実装できることって多いよね。

ちなみにこのあたりから「ピースは宝石にするとモチベーションが上がる」ことを発見したので、デザインを〇▲のような記号から変更している。

宝石にするとよさそうと思ったアイデアの元もまたボードゲームである。商人として金銀ダイヤモンド含む商品を高く売買するジャイプルとか、宝石を集める拡大再生産ゲームの宝石の煌めきとか、ボードゲームをよく見ると宝石をやり取りするゲームが思いのほか多いことがわかるので、多分これも先人の知恵の一つなのではないかと思う。

実際にピース設置できたら、それが本当に面白いのかを触って確認していく。

今回はちゃんと面白そうだとわかったので、次はステータスアップ判定を実装していく。

ちなみにこの後本業の仕事が忙しかったこともあり、進捗が伸び悩みはじめている。

12/3締め切りの3分ゲーコンテストというゲームがあり、どうせゲームを完成させるならば投稿したいなと思っていた。コンテスト出場はゲームの宣伝的にも結構都合が良くて、そこそこアクセス数を稼げる恩恵があるからだ。

11/28にはピース設置から戦闘までの一通りのフローが完成していた。

いわゆるプロトタイプ版の完成である。

ここから本当にこのゲームが面白いのかを確認していく作業になる。

具体的にはゲームバランスの調整をしていったりする。どう調整してもゲーム性が今一つの場合は再設計をしなければならなくなるので、ここからが正念場である。頭で思い浮かんだゲームがそのまま手放しで面白かったことなんて一度もないからね!

敵の強さを調整したり、ピースの形をどうするかなどを考えて、面白さを詰めていく作業である。

正直うまくいくか不安な作業である。かなりの試行錯誤を繰り返していった。

例えば、ピースの形はもともとL字型一つだけだったのだが、これだとマスの端に直線上の空きマスが残ってしまうことがわかって、直線2マスピースや1マスピースを追加したりした。ただ、2マスピースや1マスピースは特定階層だけでしか出現しないようにした。これは「運ゲー」と思われて思考放棄をされることを防ぐ意味が強い。

また、1ピースに同じ宝石が2つ以上乗せることも検討した。これだと直線や四角が揃えやすくなり、かなりの能力成長が見込めるのだが、これをすると「宝石が2つ以上固まったピースを集める運ゲー」に成り下がってしまい、運要素が強すぎてみんな思考放棄してしまうことがわかったので、やめた。

完成作品だと30階層以降から、1ピースに宝石2個以上が出てくるようになるのだが、このようにすると「ハイスコアを狙うためには、30階層までギリギリのピース設置で挑まなければいけない」という駆け引きが生まれるので、ゲームのよいエッセンスとして機能した。

こうやってみると、いかに「運ゲーで負けたのではなく、プレイヤーの力量が足りなかったから負けた」と認識させる工夫が必要なのかに力を割いていたことがわかる。

人は負けた理由を、自分のせいではなく運のせいにして思考放棄しがちなのだが、これを許さない設計にすることで、自分の反省から次回の改善を模索して挑む面白いローグライトゲームができるのではと思っている。かといって、実力100%のゲームも基本的には流行らないものであり、ある程度は運しだいでうまくいくゲーム性でないといけない。

将棋の大天才藤井壮太と一局指すことになったら、戦う前から諦めて思考放棄してしまう人はたくさんいるはずだ。将棋は完全情報ゲームで完全実力勝負であり、運要素がないことが原因だ。だが、もしも運要素で勝てる要素が残されていたとしたら、あなたはそれに賭けて頭を回そうと考えるはずだ。この自分と相手との実力差があっても思考放棄しない要素が運要素の大事な効能だと思っている。

運も絡むけど、自分の技量がスコア結果となっていることを認識して、自分を省みて伸ばしていけるような絶妙なバランスが本作で一番苦労したところである。うまくいったかなあ。

さて、こんな感じでゲームのプロトタイプ調整が終わり、ちゃんと面白いことがわかってきたので、 11/30には一通り遊べるゲームが完成した。12/3締め切りの3分ゲーコンテストには十分に間に合いそうである。

このあたりからAI画像生成アプリである mid journey がver.4になったということで、せっかく月額払っているんだからタイトル画面生成してもらおうと思って生成した結果が以下となる。

正直、めちゃくちゃクオリティが高すぎてびっくりした

ver.4から日本人受けするアニメタッチのイラストが生成できるようになり、かなりクオリティが高いタイトル画面が作れるようになった。

これはけると思い、ここからゲームをより魅力的にするための「ガワ制作」の工程に移っていく。前作ダンジョンボンバーではこれを全てダサくすることで合わせたのだが、今作ではちゃんと世界観を合わせて魅力的な装飾デザインを施していく。

その方が絶対にアクセス数増えるからね!

なんなら前作ダンジョンボンバーのガワ部分も変更しようかと真剣に考え始めている。ダサいよりも魅力的な方がいいに決まってるからね!変な反骨精神出すんじゃなかったわ!!!!!

ゴシックテイストにそろえてBGMもそのテイストに合わせていった。フォントも明朝体系で揃えてお耽美な作風を押し出していく。

一つ行けそうな世界観がわかると一気にデザインBGMなどが決定していく。

そして、12/2にはバグ取りして公開を待つだけになった。

ここで完成!ゲーム制作!完!ということにはならない。

むしろここからはゲーム制作第二部である「ゲーム宣伝活動」がはじまるのだ。

どういう宣伝文だと人が興味を持つのか、またはSNSで拡散する施策をどうするか、などである。

宣伝文書いてプレスリリースを各所に送付する。

もともとローグライトパズルゲームの第二弾として制作していたのだが、途中から「これはパワーアップ要素が単調だからローグライトじゃないな」と気が付き始めたので「パズルRPG」という別ジャンルで宣伝していくことに決めた。ローグライトがパズルRPGになったところで、狙っているターゲット層は同じ層だと思うので、特に問題のない方針転換かなと思っている。

また、今回はSNS拡散施策として「結果ツイートでマス状態をテキスト可視化できるようにする」機能を作成した。

例えばこんな感じだ。

以前wordleが同じようなことをしてバズっていたので、この方法を自分でも試してみた。

結果ツイート文に環境依存文字である絵文字をたくさん使うのは正直大丈夫かとも思ったのだが、時代は2022年だしみんなUTF-8で1文字3バイトの世界で生きてそうだと思って採用した。

結果、#カケラの塔 でツイッターを確認すると非常に多くのツイートが流れるようになった。これは結構宣伝効果があるようで、普段よりも多くのtwitter流入しているようだ。

https://twitter.com/hashtag/%E3%82%AB%E3%82%B1%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%A1%94?src=hashtag_click&f=live

みんなもどんどん結果ツイートしていこうね!

3分ゲーもきちんと公開申請が終えた。コンテスト出場も立派な宣伝活動の一環である。

https://3punge.wixsite.com/3punge/27

公開後も、隙を見て拡散の施策を考えている。例えば、ランキングを通年だけでなく、月ごとにして毎月プレイヤーのランキング入賞意欲を沸かせる策も現在検討している。(たぶんこれは過去作含めて半日でどうにかなるはず)

また、せっかく公開して話題になっているんだし、広告収益以外の収益化手段を持っておこうと課金要素についても検討をはじめている。

課金で有利なピースが落ちるようにしてしまうと、格差社会に打ちひしがれて思考放棄で離れるプレイヤーが多いと予想されるため、そういう面白くならない課金要素は考えていない。考えているのは「玄人プレイヤーがもっと遊びやすくなる要素を課金要素とする」施策だ。例えば、戦闘シーン倍速機能や、簡単リセット機能などは初心者はいらないが慣れてきたやりこみプレイヤーは欲しくてたまらない機能だと思われるため、そういったプレイヤー向きの課金要素を今後は取り入れていく。もし要望があればコメント欄に書いてもらえると嬉しい。

(22/12/11追記)

上記の課金要素を実装した。このゲームがいいな!と思った方はご支援いただきたい。

・パズルRPGゲーム カケラの塔 支援者様向けやりこみ用倍速モード+敵ステータス一覧表セットのご案内

https://note.com/hothukurou/n/n5c6a72aedb48

ゲームのプレイデータ集計

ここからはゲームのプレイデータを解析していく。

2022/12/04の公開日から12/08までの集計期間で、プレイごとにどこまでの階層に到達したのかを集計した。例えば2回遊んで13階層、23階層で負けた場合には、13階層と23階層にそれぞれプレイ数が計上される。

合計4157プレイのデータを集計した。

その到達階層の内訳はこのようになった。

5階層で負けている人が639ととびぬけて大きい。おそらく、初回プレイでうまく能力成長できずに負けていったのだろうと思われる。4階層が次に多いのも同じ理由だろう。

ちなみに5階層の敵はこいつである。

作者の目論見としては、10階層の敵がHPが高く強敵になるかと思っていたのだが、10階層で負ける人はむしろ少ない方で、データではその次の11階層や12階層の敵で負けている人が多かった。このあたりから攻撃力が上がってくるのできちんと防御力を上げていかないと厳しい戦いになるだろう。

ちなみに2022/12/9時点での最高到達階層は99階である。これは作者最高記録である45階層のダブルスコア以上というもうとんでもない記録であるので、もしかしたらそのうち100階突破者が現れるのかもしれない。

ちなみに作者としては30階層を突破して31階層以降到達すればクリアとみなしてよいと思っている。

この31階層到達してクリアした割合を計算した。

31階層突破率:9.34%

10回挑戦したときに62%の割合でクリアできることになるので、まあ難易度調整もよい塩梅なのではないでしょうか!

まとめ

以上でパズルRPG カケラの塔の製作日誌とプレイデータ集計を終える。

ちなみに作者として気になる「同じ人が何回プレイしてくれたか」というプレイ継続率も計測したところ、4回以上プレイしてくれた人が51%もいたので、継続率は結構高いものと考えられて、するめゲーとしてはだいぶうまくいったのではないかと思っている。

次回もこんな感じのやりこみするめゲームを作る予定なのでこうご期待!今後の展開としては、このシステムを更に拡張させた次回作を検討するか、やりこみプレイヤー向け便利システムを今後課金要素として実装していき、ブラウザゲーム事業をどんどん膨らませていきたいところである。

・パズルRPG カケラの塔