この記事の概要
AIがここ数年で急速に発展し、人類の代わりにシャレた文章書くようになったり、仕事手伝ってくれるようになった挙句、ついには人類と同じようにゲームをするようになったという。
逆に我々人類はゲームを作ることでAIに対抗していくことになったのであった。
という話はさておいて、普段人間が行うゲームの操作をAIが自動で進めていって、それを我々人類が仕掛けを作って潰していく新感覚ゲームって結構面白いんじゃね?という「仕掛ける側のゲーム」ジャンルをみんなで広めていこうではないか!というのが本記事の趣旨である。
仕掛ける側のゲームと向き合った1か月
策落というゲームを作った。
落ちものパズルを妨害するゲームが完成しました!
— ほっとフクロウ(作っちゃうおじさん) (@hothukurou) October 15, 2023
ゲームはCPUが自動操作するので、落として嫌だなと思うブロックを作って詰まらせたら勝ち!
次に落とすブロックが表示されるので、黒い部分をクリックしてブロックを追加しましょう。
Number of Defeat Turns:35 https://t.co/5avY9DWenp #Sakuraku pic.twitter.com/NUhIFKXVzh
https://hothukurou.com/game/Sakuraku/index.html
このゲームは「落ちものパズルをCPUにやらせて、プレイヤーは設置するブロックを決めることで邪魔ができる」という普段とは逆のゲーム性を持つ。この発想の転換がそこそこ著名なゲーム系インフルエンサーに評価されたことで多くの人に遊んでもらうことができた。
ゲームを実際に作ってみた感想としては、落ちものパズルの部分はChatGPTと協力して作ったら数時間でできたのだが、その後の「最適な位置にブロックを落下させる計算」にえらく時間がかかってしまった。結果、「ブロックの下に空欄があるとマイナス評価」という評価関数を一つ入れるだけで劇的に賢くなったのだが、この話はいつか書いていくつもりだ。
今まで我々人間がプレイしていた要素をCPUにプレイさせて、プレイヤーは逆にCPUを妨害するという「仕掛ける側になるゲーム」はまだまだ金脈があるように感じている。できれば他のみんなが気が付く前にその養分を吸っていきたいところだったのだが、これを作った2023年10~11月は毎日12時間以上会社に残ってプログラム組んでる位には激務だったため、なかなか次回作には手を出せないでいた。
そうこうしているうちにグランツーリスモ開発者で有名な安原祐二氏が制作したシューティングの敵側になって主人公機を倒すゲームが公開され、こちらもかなりの話題作となった。ガジェ通にも掲載されたくらいなんだからえらいこっちゃですね。
・敵になって「強すぎる主人公機を倒す」シューティングゲームが話題 / グランツーリスモ開発者
https://getnews.jp/archives/3457528
やはりこの仕掛ける側になるゲーム、宝の山だ・・・!俺もこんな感じでガジェ通とかに乗りたい!!!この記事の場合は開発者が元々有名人であることも大きいとは思うけれども!
ということで、仕掛ける側になるゲームの次のアイデアを思いついた俺は早速時間を見つけては開発に取り掛かったのであった。ただ、平日はずっとベンチャー企業のエンジニアとしてプログラムや回路とにらめっこしている自分にそんな悠長な時間はない!何か良いきっかけはないものか!
そうこうしているうちにひいきにしているゲーム開発ハッカソン「あほげー」がはじまった。あほげーとは、3連休の初日24時間でゲーム一本作ってみんなで遊ぼう!という超短期間ゲーム開発イベントである。自分が学生の頃だった2010年くらいからはじまっていたはずだからもうえらく長期間開催されているイベントだ。こういうイベントは自分の創作意欲を高めるカンフル剤としてはかなり効果的である。せっかくなのでこのタイミングで「仕掛ける側のゲーム」を作ってしまおうと考えた。
あほげーのお題は3連休の前日夜に公表される。今回のお題は「ホテル」だった。
・・・ぜーんぜん仕掛ける側のゲームアイデア思いつかねー!!!と思いながら仕事に戻る。結局この日は深夜遅くまで仕事した挙句に終電逃してタクシーの中でアイデアを模索することになった。こういう大変な時こそChatGPTが役に立つはずなのだが、ある程度専門的な内容になるとChatGPTは嘘ばかりついて取り繕うようになる。集合知が足りない部分は対応してくれないのだろう。これがAIの限界か・・・!
結局次の日も会社に顔出したりしていたので、あほげーは間に合わなかった。厳密にいえば午前中に会社で残処理を終えていたのだが、その後東京の絶景温泉地こと後楽園のスパラクーアにてリフレッシュしていたら締め切り過ぎてしまったのだった。
休日昼間の暖かな日光を身体全身に浴びながら入浴する温泉は心が洗われるようである。 いつまでも入っていられる。その後、サウナ→水風呂→日差しの中休憩→サウナ→水風呂→日差し・・・と巡回すると心身ともに軽くなっていく。激務の日常から安息に戻るためには健康ランドでの浄化作業は必須であるからこれはしょうがない話である!
結局のところ、あほげーは1日遅刻したが締め切り後から制作を開始して、大遅刻の上公開することにした。あほげー公開諦めようかなと思ったりしたのだが、ゆったりしているうちに良いアイデアがひらめいたから作ってしまったのだ。あほげーはきっかけに過ぎず、あくまで大事なのはゲームを一本形にしようというクリエイターが持つ高貴な志なのである。
あほげーは大遅刻しても許してくれるので「ゲームを完成させることを至上とするもの作りマインドあふれる人間」にってはとても良いイベントである。あほ数競うランキングや実況放送には参加できなくなるけど。
レトロRPGホテル みんなのやどや
https://hothukurou.com/game/Hotel/index.html
大分遅刻しましたが、第42回(お題:ホテル)に投稿しました。
— ほっとフクロウ(作っちゃうおじさん) (@hothukurou) November 5, 2023
RPGの世界で宿屋のオーナーになって、程よく経験値を稼げそうな位置に宿屋を建設しましょう。
スマホでも遊べるブラウザゲームです。
レトロRPGホテル みんなのやどや https://t.co/9porMU7vc1 #レトロRPGホテル #あほげー #ahoge pic.twitter.com/cxfLzf715h
このゲームは、勇者が勝手に動いて洞窟から這い出る魔物と戦ってレベリングしていくので、適切な位置に宿屋を置いてそれをフォローするゲームである。
「宿を最適な位置に仕掛ける」ことで、勇者たちのレベリングを補助したり、勇者の冒険の道筋をコントロールすることができる。これも一種の「仕掛ける側になるゲーム」と言えるだろう。
さて、上記のゲームもそこそこ好評だったのだが、そこまで話題になったかいえばそうでもなかった。
もうちょっと直感的なゲームにした方がよいかもしれない。ということでお次は昔ガラケーのゲームアプリでよく見た「クリックでジャンプする物体に障害物を仕掛けるゲーム」を作ることにした。実は上のみんなのやどやを作るちょっと前から着手はしていたゲームで、ちょっと手を加えたところ公開できるゲーム性まで向上できたのでこの一週間後という超短期間で公開することができた。我ながら13時間会社いるのによく公開できたなと思う。もしかしたら創作活動こそが、激務でも平常でいられる精神特効薬になっているのかもしれない。だからこそ、しんどい時こそゲーム作ろうぜ!
ということで公開したゲームがこの「箱落とし」である。
https://hothukurou.com/game/BoxDrop/index.html
見てわかるゲーム性だ。クリックした部分を中心に柱が伸びていくから、これを使って箱を全て撃墜させるタイムを競う。これが意外にも難しく、タイミングが重要になる。ぜひ遊んでみてほしい。
クリックでジャンプして障害物を避けるゲームは見たことあると思うのですが、これはその逆でクリックで障害物を設置してジャンプする箱を撃墜させるゲームです。
— ほっとフクロウ(作っちゃうおじさん) (@hothukurou) November 11, 2023
ジャンプ妨害ゲーム 箱落とし 公開しました! https://t.co/BG3MdLLN3B
#スーパーゲ制デー #ブラウザゲーム #ゲーム制作 pic.twitter.com/8eeBP3TKYP
この箱落としのAIは思った以上に簡単に書けた。存在する全ての柱について箱との距離を計算した上で、今ジャンプしたらぶつかるか否かを探索し、問題なければジャンプするという処理を書くだけでよかったからだ。
このゲームもまた、「すごい!」という感想を結構いただいた。一週間程度の隙間時間でゲームを公開して褒めてもらえるならばこんなコスパのよいことはないと思う。自尊心の充足こそ人類の欲望の最終地点なのだから。
こんな感じで毎週ゲーム更新し続けられると、良い感じに集客できるしゲームセンスも上がっていっていると思うのだが、いかんせんそろそろネタが尽きてきた。ネタがない!ただ、ここまでやっても未だにこの「仕掛ける側になるゲーム」はダイヤモンドが眠っている気がしてならない。自分はもう少しここを掘るつもりでいるので、これを見た賢明な諸君もぜひ真似してアイデアを考えて形にしてほしい。こんな感じで1ジャンルとしてどんどん色々な人が作品を公表し続けていけば、もっとジャンルとしての盛り上がりを見せていけるはずだ。
ただ、この「仕掛ける側」のゲームは制作時に自動操作するAIを作成するという、プログラムに慣れてないとそこそこ苦労するであろう要素がある。ここをクリアするのはまあ大変だと思うので、次回以降どこかでゲームのAIについて説明しようかと思っている。興味ある人はコメントいただければ幸いだ。ここで述べるAIはニューラルネットが多層に敷き詰められたディープラーニングではなく、単に「可能な限り全探索して最適な動作を計算して最適動作を行う」ことを指していおり、それこそ我々人類の強力な配下となったChatGPTと協力してコーディングすればそう難しいものではないので気軽にチャレンジしてみてほしい。