「ダンジョンデストロイヤー」を2025年8月26日にSteamリリースしました!!
ブラウザゲームの技術を用いて制作しているのですが、どうやってSteamリリースしたのかという技術や注意点を書いて後進へのフォローを行うと同時に、最後に宣伝させてください!
・ダンジョンデストロイヤー
https://store.steampowered.com/app/3596100/

制作経緯と制作期間

元々同名のWebブラウザゲームを1か月で制作して好評だったのですが、
ダンジョンを組み替えるパズル要素とダンジョン探索のローグライクを組み合わせた作品
という要素マシマシのゲームシステムがあまりにも複雑すぎたので、
それならばSteamでゲーム公開した方が良いなと思ったことが制作理由です。
途中別作業をしていたので制作期間は飛び飛びになるのですが、追加で2か月ほど注力して無事にSteamに公開できました。合計3か月で無からSteam公開へたどり着いたことになります。
時系列にすると以下画像のようになります。
ゲームダンジョンに間に合わせるために作業して進捗を進めていることがわかりますね。
これを巷では「イベント駆動開発」と呼ぶそうです。

基本的に個人製作になります。ただ魅力的なイラストを私は書けないので、
ドワーフちゃんはイラストレーターのサファリさんという方に外注し、描いてもらいました。
(2022年オモコロ杯銅賞になった時の縁でお願いすることができました。いろんなイベントに参加すると良いことありますね!)

ブラウザゲームはElectron+SteamWorks.jsでSteamアプリ化する
ブラウザゲームはその名前の通り、ブラウザをゲーム機として遊べるゲームなので、ブラウザなしでは遊ぶことができません。この解決策として
「ブラウザごとパッケージにまとめたらダウンロードアプリとしてブラウザゲーム遊べるじゃん!」
という小学生が思いついたような方法が普及しております。それを実現するフレームワークがElectronです。
(この項目だけ技術的な内容が多いので、不要ならば飛ばして次の項目から読みましょう)
ちなみにこの方法は結構いろんなところで使われておりまして、例えばプログラマ御用達のVSCodeはElectron製ですし、RPGツクールMVやMZは似たような機能のNW.jsが使われております。
これを用いればPC内のダウンロードアプリとしてブラウザゲームを作ることができます。
ところでSteamで遊べるゲームには実績機能やスクリーンショット機能がありますよね。

これを実現するためのライブラリも提供されておりまして、steamworks.jsというライブラリを今回使いました。
https://github.com/ceifa/steamworks.js/
古い記事を見るとSteam連携ライブラリにgreenworks.jsが紹介されているのですが、対応nodeバージョンが古すぎるのかまともに動きませんでした。
2025年時点ではsteamworks.jsを使うのがよさそうです。
ただ、steamworks.jsの使い方にも注意点があります。「Electronのreadyイベントハンドラでsteamworks.jsを初期化するのではなく、イベントハンドラの外、Electronのエントリポイント内で最優先で初期化コードを書く」という点です。
正しく起動すると、ゲーム中にShift+Tabキーを押すことでSteamOverlayを起動することができます。
これがなくても審査は落ちませんが、SteamOverlayの起動は推奨事項としてSteamリリース審査時に指摘されましたね。

基本的に再審査になることを想定する

基本的に初めての審査は再審査になることを想定しましょう!私は無事に再審査の波にもまれました!
Steamにゲームをリリースするためには、「ストアページ公開審査」と「ゲームリリース審査」の2つの審査があります。どちらも、3~5営業日かかるので、時間に余裕をもって審査を投げましょう。
営業日という点がポイントで、平日しか審査されませんので注意してください。
つまり審査投げたら来週通るイメージになります。
ちなみに私は両方で再審査となりました。落ちること前提で早めに審査を投げて指摘点を把握した方がよいと思います。
ちなみにストアページ審査で落ちた理由は「英語用キービジュアルなのに日本語が書いてある!」とか「画像が適切ではない!」みたいなものでした。こちらは指摘された内容を直すだけでよかったので簡単でした。
問題はリリース時の審査です。「タイトルが日本語で読めないから修正してね」という内容だったのですが、ストアページ公開後はサポートページからの問い合わせでないと修正できない模様。
審査ページのフィードバック経由からローカライズタイトルを報告したものの、それが適用されずに二度目の審査落ちとなったので苦労しました。

そのあと、開発者サポートから連絡したところ無事に以下のようにアプリケーション名が追加されました。ちなみにここ以外にも「リリースビルド名もローカライズする」という気が付きにくい点があるので注意が必要です。

この修正によりようやく公開となったわけですが、最後に一つ「ドルベースで価格設定すると、日本円など為替からずれた金額が表示される」ことがあるので注意しましょう。
Steamでは30種類以上の通貨での価格を設定できるのですが、めんどくさがってドルベースのみ設定して他の通貨価格を設定すると、想定よりも安い価格でリリースしてしまう可能性があります。
私の場合、$4.99(20%オフで$3.99) を販売価格として設定していたのですが、日本円だと580円(20%オフで464円)になってしまいました。どうも1ドル116円で計算しているようです。2025年8月は1ドル145円だったので、この価格で表示されたときには冷や汗をかきました。
今から価格至急上げることもできたのですが、公開後に価格上げるのは良くないだろうなと思ったのでこの価格のままになっております。
幸い、500円以下の話題の新作欄に掲載されるという恩恵も受けられたので良かったのですが、次回からは自分で相場から計算して価格設定することにします。
「面白さが伝わるか」を知ることができる展示会は良い試金石

ダンジョンデストロイヤーは東京ゲームダンジョンで展示することを目的に制作していたのですが、このイベント展示はとても学びがあるものでした。
実際にゲームをプレイした人が、どこで詰まるのか、どこに興味を持ってもらえるのかを知ることはゲームのクオリティ向上の大きなみちしるべとなりました。
このゲームは5月と8月の2回イベント出展したのですが、5月時点では「ゲームが難しすぎてチュートリアルで離脱する人が続出する」といった問題が発生していました。結局のところ展示中はずっと付きっ切りでゲームの解説をしなければなりませんでした。
その後、チュートリアルを徹底的に考え直して作り直した結果、8月の展示会では無事に説明なしで90%チュートリアル突破できるようになりました。しかしながら10%ほどわかりにくい点が発覚したので、その修正を行いつつ、Discordやもくもく会で同じようにゲーム制作をしている方からテストプレイでフィードバックを行い、現在の完成形に至ります。
この「面白さが伝わる段階までもっていく過程」が一番大変でした。
テストプレイって大事ですね!
ローカライズで海外にも売っていこう!
2024年、Steam利用人口における日本語の割合は2.53%しかありません。一方英語は42.14%、中国語(簡体字)は29.95%なので、英語と簡体字中国語のローカライズをするだけで6割以上の層へリーチすることができます。
ローカライズはぜひやった方がよさそうですね。私もローカライズを意識してゲーム設計をしていました。
https://www.gamereactor.jp/steams-most-popular-languages-of-2024-1735103/
今の時代、AIに任せればいくらでも言語翻訳はできますが、実際にその翻訳が通用するかは確認が必要ですね。
そんなあなたにおすすめなのが月一回東京秋葉原で開催されるTokyoIndiesです。
このイベントは、海外の参加者の方が非常に多いイベントでして、プレゼンを通して情報交換や自作ゲームの紹介をしていくイベントです。
そのイベント前後にゲームを展示して遊んでもらうことができる時間があります。
この時間にゲームを展示して遊んでもらうことで、翻訳が適切か確認することができます。
実際に展示していた時の写真がこちらになります。かなり好評で6~7組の方に遊んでもらえました。

実際に英語話者の方に遊んでもらったところ、早速おかしな翻訳を発見してもらったので、その場で言語翻訳ファイルを開いてリアルタイムに言語修正をしていただきました。
その節は本当にありがとうございます。助かりました!
普段日本語話者に囲まれている環境で生きている私たちにとって参加に度胸が必要なイベントかと思いますが、非常にアットホームなイベントなので興味ある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
・Tokyo Indies
販売してから販売本数などの話
さて、以上で人生初のSteamゲームリリースについての要点は以上になります。
ダンジョンデストロイヤーは8/26(火)に公開しました。プレスリリースをとにかく出したかったので平日にしました。月曜日は土日月にプレスリリースを送付した人が掲載審査されるはずで普段の3倍の競争率になるのでこれも避けました。
「まったく売れなかったらどうしよう・・・」と前日は眠れなかったのですが、公開後は無事に売れ始め、翌日にはレビュー10件以上獲得して評価が「好評」となり、話題の新作で紹介されるようになりました。うれしい限りです。
ネット上ではなく、実際にお会いしてゲームの魅力を伝えられるゲーム展示イベントは個人ゲーム開発者にとって重要だと思いました。
距離感が近いと感想を伝えやすくなるのか、「レビュー書いたよ!楽しかった!」という声もいただきました。個人ゲーム開発者の最大の武器は「血の通っている個人であること」なのかもしれません。
プレスリリースも、ゲーム業界情報を取り扱っているgamebizさんに紹介いただくことができました。
ゲーム制作者「作っちゃうおじさん」、新作パズル+ローグライクゲーム『ダンジョンデストロイヤー』をSteamでリリース
https://gamebiz.jp/news/411361
gamebiz様のアクセスランキングではプレスリリース記事が週間ランキング6位になったようですね。注目を集める情報を提供できてよかったです。
25年8月23日~29日のアクセスランキング…サービス終了関係、大手ゲーム決算まとめ、『ダンジョンデストロイヤー』が上位に
https://gamebiz.jp/news/411654
その他、インディーゲームを多数紹介いただいているNeonNoroshiさんに紹介していただいたり、
絶対SIMPLE主義さんがレビュー記事を書いただいたりと、リリース後はうれしい記事をいくつも読ませていただきました。
みなさま、本当にありがとうございます!
現在、発売から10日ほど経過しましたが188本売れて、600$以上の収益です。これだけで食べてはいけませんが、支出分はすぐに回収できたのでまずは一安心。現在安定した数値で売れているので今後どうなるかが気になるところ。今後も何作も出していく予定なので、少しずつ積み重ねて安定収入の基盤としたいですね。
1000$以上売れることでストア出展費用の100$が返金されるとのことなので、ここを目指して販促活動を続けていきたいと思います。まだ買っていない人はぜひ買ってもらえると嬉しいです。気軽に買える金額なので。
また、独特な販促活動として、体験版をブラウザゲームとして公開することにしました。
Web技術を用いているので可能な作戦ですね。
https://hothukurou.com/game/Digger/index.html

うさぎパズルのエンディング先の一つとしてダンジョンデストロイヤー体験版ルートも追加しました。使えるものは全力投入するファイトスタイルです。
以上で人生初のSteam公開記事の振り返りを終わります。ブラウザゲーム制作を宣伝として使いつつ、今年中にSteam第二弾「ダンジョンボンバー」もリリースすべく開発を進めていきたいと思います。
ダンジョンデストロイヤー、9/9まで20%オフセールで464円で購入可能なので、まだ買っていない人は今すぐ購入しましょう!!面白いよ!!!!!
・ダンジョンデストロイヤー
https://store.steampowered.com/app/3596100/
