【ゲーム理論】平均値ゲームからわかった「人の戦略パターン3種」

集団内での人の行動パターンが読めた!

僕たち人間は集団行動を取らなければ生きていけません。学校、職場、旅行、どんな時でも集団行動が必要になります。

数人ならまだ一丸となれますが、数十人以上になると統率は取れず、一つの目的に従って行動することは難しくなるでしょう。

今回、そんな人間の集団内での行動と割合がゲーム理論で語られる実験から解明したので、ご報告いたします。

そもそもゲーム理論って何?という方も多いと思うので、本題の前にゲーム理論についての話をいたします。既に知っている方は飛ばしてもらっても構いません。

みんな大好きゲーム理論

私は中学生の頃から「ゲーム理論ってなんかカッコいいなあ」と漠然と思っていました。

そもそもゲーム理論とはなんでしょうか。wikipediaで調べるとかなり難しめの説明が書いてあったので、浅学ながら私がかみ砕いて説明しますと、

利害関係を考慮して自分と相手が最適な行動を考える学問をゲーム理論と呼ぶそうです。

ゲーム理論で取り上げられる代表的なモデルが囚人のジレンマです。

このモデルについては解説記事が多数あるので、興味ある人は以下の記事をサラッと読んでみてください。

「囚人のジレンマ」とは、各人が自分にとって一番魅力的な選択肢を選んだ結果、協力した時よりも悪い結果を招いてしまうことです。ゲーム理論もモデルの一つでもあります。今回は、ゲーム理論の基本的な概念と代表的なモデルを解説します。

「囚人のジレンマ」なんか、めっちゃワクワクしてきませんか。

こんな心理実験を実際にやってみて、ゲーム理論通りになるのか試してみたい!

ということで、作ってみました。

 

こんなWebアプリを作りました

題して、1~100を選ぶだけの心理ゲームです!

・ゲームURL

好きな数字を選んでください。勝利番号を当てた人が勝者です。ゲーム理論が学べる心理実験ゲーム。

このゲームは「平均値予想ゲーム」というモデルを参考に制作しています。

ルールは非常にシンプルです。

・1~100のうち、好きな数字を選び、勝利番号を選んだ人が勝者となる。

・勝利番号は「その日選んだ全ユーザーの平均値×2/3(四捨五入)」である。

たったのこれだけです。しかし、この平均値予想ゲームは、「平均値を予想すること」が非常に重要なゲームとなっており、

勝つための平均値予想を何段階進めたかで、投票する値が変わることになります。

具体的に考えてみましょう。

プレイヤーの数がそれなりに多くいるとして、もしそのプレイヤー全員が何も考えずに1-100までの数字をランダムに選ぶとするなら、

プレイヤー全員の数字の平均値(期待値)は50.5に近い値になると考えられます。

ということは、勝利番号は50.5×2/3=34(四捨五入)となり、34に投票すれば勝利できると予想することができます。

この状態が「平均値予想を1段階進めた状態」です。

果たして本当に34に投票すれば勝てるのか・・・というとそんなことはありません。

なぜなら、他のプレイヤーも同じことを考えているからです。

つまり、全プレイヤーが平均値予想を一段階進めると、全員が34に投票することになります。そうなると、平均値予想は34になってしまうので、勝利番号は34×2/3=23となってしまいます。

この状態は「平均値予想を2段階進めた状態」です。

この予想を進めていくと勝利番号は小さくなります。

この予想が辿り着く果ては「全員が1を出して、勝利番号が1となる状態」です。

全員が1を出すと平均値は1になるので勝利番号は1×2/3=1(四捨五入)となるのです。

このような「参加者全員が最適な選択をした時に辿り着く状態」をナッシュ均衡と呼びます。

今回用意した平均値ゲームWebアプリの目的は

平均値予想ゲームを繰り返し行ったとき、最適な行動を取るとは限らない現実の人間は、何手先の平均値まで予想する傾向があるのか

を検証することが目的になります。

先行研究では「勝利番号が13なので、平均値を三回先読んだ時の答えに近い」ということがわかっていますが、果たして今回も同じ結果になるのでしょうか。

それでは見てみましょう。

 

 

意外な実験結果

予想

先行研究とは異なる点として、「毎日実験するので、前日の勝利番号を参考に番号を予想することができる」という点があります。

つまり、「日が経つことに、予測される平均値は下がっていくので、だんだん勝利番号が小さくなる」と予想することができます。

ということは、何日も実験を続けていれば、いずればナッシュ均衡の1に到達するのではないか、ということになります。

果たして、参加者はみんな同じ最適化の道を辿っていったのか!

 

結果

それでは、実験開始から5日間の勝利番号を公開します。

なんと、勝利番号は21~22で収束してしまいました!

ナッシュ均衡でもない数字がなぜ選ばれているのでしょうか。

  

このゲームでは、投票された数字のばらつきを棒グラフで可視化しています。

日を追うごとに興味深い変化が起きていることがわかります。それがこちらです。

(横軸:選んだ数字 縦軸:その数字を選んだ人数)

 

だんだんと、選んだ人数がまとまっていることがわかります。

  

具体的には以下の3派閥に分類されているようです。

(1)前日の数字から勝利番号を狙う21~23派閥(主流派)

(2)ナッシュ均衡である1を狙う派閥(理想派)

(3)絶対に勝てない100付近の数字を選んで勝利番号を攪乱しようとしている派閥(改革派)

この(1)(2)(3)の層の比率がほぼ同じであるために絶妙な均衡を保っており、その結果21,22と同じ数字が勝利番号になっているのだと考えられます。

ナッシュ均衡ではなく、まったく別の均衡状態に収まってしまったのです。

 

この均衡をH均衡と名付けます。 

私のtwitterアカウント(@hothukurou)の頭文字を勝手につけました。

この際なので、H均衡の定義も決めてしまいましょう。

H均衡とは「他者は最適行動を取らないという前提を加えた時、その割合により生まれる均衡」 を指します。

いやー自分のHNからとったこの言葉が一般に広まったらいいなあ!

ということで、一週間ほどこの実験は観察する予定なので、また変化があればこの記事は更新していきたいと思います。

(他の説もあるよ!と思った方がいましたらコメントをいただけると幸いです。)

結論 (20/06/08)時点

(1)人は集団の中で同じ戦略を取らないため、ナッシュ均衡になるとは限らない。

(2)集団の中では、常に目的を妨害してかき乱すトリックスター的な層が一定割合で登場する。

(3)複数の層の割合が一定になることで、ナッシュ均衡とは異なる均衡に辿り着くこともある。この均衡を当サイトで勝手にH均衡と呼ぶことにする。

(後世に名を残したいだけである)

(20/06/09)追記試験

なんと6/8 6日目の試験結果も22となり、ほぼ21~22で勝利番号が均衡していることが判明しました。

番号のばらつきも、前日と同じような傾向になっていることがわかります。

 

(20/06/09)仕様変更を行いました

そろそろ、新しい風を取り入れる頃合いでしょう。

今回取り入れる新しい課題は「いかにして、全員が同じように勝利番号を狙うようになるか」について追加検証したいと思います。

具体的には

絶対に勝利番号ではない大きな数字を入れる層を減らすことは可能なのか

を検証します。

ところで、なぜ「勝てないのに大きな数字を入れる改革派」が生まれてしまうのでしょうか。

原因を分析したところ、「勝利番号を当てようとする意欲が低い」ことが原因なのではないかと推測しました。

今回のゲームでは、以下の2点によって勝利番号を当てる意欲が下がってしまうと考えられます。

(1)当てた時の賞金や、外した時のペナルティがないこと

(2)勝者の名前が最初の一人しか乗らないこと

今回は、少しでも勝利番号を当てる意欲を高めるために(2)の問題を改善すべく「勝利番号を当てた全ての名前を表示できるようにする」機能を追加いたしました。

こんな感じで表示されるようになります。

これによって、1番目に答えの数字を選ばなくても入賞して名前が表示されるようになりました。

これによって、「どうせ今投票しても名前が載らないから適当にやろう」という層が減っていくのではないかと考えています。

この施策によって勝利番号が下がることはあるのか!!

乞うご期待!

予想外の結果

6/10になったので結果をみましょう。

意外なことに、数字が下がるどころか一つ上がっていますね。

グラフも見てみましょう。

前日から傾向がほぼ変わっていません。

主流派、理想派、革命派の3層に票がより集中している印象です。

今の仕様で数日様子を見て、どのように勝利番号が変化するのか見届けてみましょう。

本日は以上です。 

ちなみに、この日までは解説に「1~100の平均値は50である」と間違ったことを書いていたので、修正して「1~100の平均値は50.5である」と書き直しています。

0~100の平均が50でしたね。この記事を推敲している友人に指摘されるまで誰からも指摘はなかったので、6/9にこっそり修正しました。

(6/13) その後の経過について

勝利番号がほぼ変わらず!なぜ21で収束しているのか・・・!

ばらつきグラフも同じような傾向です。

6/11~6/12にかけて、やけに1に投票する理想派が勢力拡大している点が興味深いですね。

6/12に至っては、主流派一つの頂点よりも大きな値が計測されました。

もしかしたら、今後は値が下がっていくのかも・・・しれません。

(6/14) 均衡崩壊!

6/11以降、しばらくは21で収束していたのですが、6/14になってついに大きな動きがありました。

なんとこの日、勝利番号が均衡を破り減少、17に減少しました。

投票者全員の予想を裏切る結果になったため、勝者は「該当者なし」。

つまり、この日勝利番号を予想できた人は一人もいませんでした。

 

投票のばらつきグラフを見てみると、大きな数字に投票している革命派が減少していることがわかります。

革命派が衰退したため、勝利番号が下がってしまったのでしょう。

ちなみに6/14は投票数が65人と前日の半分程度に減少しています。

ばらつきグラフを確認すると、確かにグラフの高さが半分程度に減少していることが確認できます。これが勝利番号低下に関係ありそうです。事項で考察をしてみます。

勝利番号が減少した原因の考察

なぜ革命派の割合が減ってしまったのか。それは、「主流派よりも、革命派が投票をやめる割合の方が多い」ことが原因かと推測します。

よくよく考えてみると、主流派と革命派で「投票を行う目的」が異なるのです。

主流派は「勝利番号を当てること」が投票の目的ですが、

革命派の目的は「勝利番号を釣り上げて乱すこと」が目的です。

 

ここ数日の勝利番号の均衡状態によって、革命派は「いくら投票しても勝利番号を釣り上げることができない事実」に無力感を感じ、飽きてしまったのではないでしょうか。

21付近に投票する主流派についても「勝利番号を一度当ててしまえば、目的は達成されて飽きてしまう」こともあるかと思いますが、

勝利番号を当てることは存外難しいことであり、「勝利番号を当てるまで狙い続ける1」というモチベーションが持続すると考えられます。

よって、主流派の離脱率が少ない一方で、革命派の離脱率は増えてしまうのではないか・・・というのが現段階での仮説です。

今後の動向予想について

6/14の勝利番号減少が起きたことで今後の動向が注目されます。

また21付近に値が収束してしまうのか。はたまた、別の均衡点に収束することになるのか。

今後の動向を確認することで、人間の行動について解き明かすヒントが得られるのかもしれませんね。

(6/15~6/22) その後の動向について

6/14で勝利番号が減少していましたが、そのあとの動向をまとめました。

参加人数が減ったことで、6/17,6/18となぜか18あたりで均衡していました。これが新たな均衡点なのでしょうか。

6/19からはtwitterのプロモ広告を使った甲斐もあり、参加人数が一気に増えました。

参加人数を増やしたところ、不思議なことに勝利番号が21付近に近づき始めています。

参考までにばらつきグラフをお見せします。

参加人数が増えると、勝利を放棄する革命派層の割合が増加する傾向があるのかもしれません。にしても謎ですね・・・。H均衡・・・!

おそらく、人間の行動モデルを主流派・理想派・革命派の三パターンに分類してシミュレーションを行えばこの値は再現するのではと思っています。

この手の行動経済学やら心理学で論文を書きたい方がいましたらデータをお渡ししますのでお気軽にご連絡いただければと思います。

論文提出の際、共著者に名前入れてくれたら嬉しいなあと思っています。

mail: tukuchauojisan@gmail.com

現在も引き続き投票を続けておりますので、興味のある方はぜひ投票をお願いします!

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コメント

  1. シナンジュ より:

    私はゲーム理論についての知識がほとんどない一般人ですが、ゲーム理論は「利己的な遺伝子」を読むと理解が深まるような気がします