概要
Androidアプリを制作してGoogle Playに公開したいと思い、Google Developerに登録したところ、これが想像以上に苦労しました。
個人アカウントで登録することならすんなり登録できたのですが、これが組織になると一気にハードルが高くなります。2025年現在、Google Developerに個人登録してGoogle Playにアプリを公開すると住所や電話番号、氏名がフルオープンで公開されてしまったり、12人のテスターを集めて、14日間アプリを使ってもらわないといけないという、友達にお願いするにも14日もアプリ起動させるという負担が大きすぎるハードルがあるため、組織アカウントに移行する制作者が増えているようです。
・新しい個人用デベロッパー アカウント向けのアプリテスト要件(Google)
https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/14151465?hl=ja
ただ、この移行も容易ではありません。どうにかして必要書類を揃えて提出した後も、ビックリする位審査に落ちることになると思います。その時、却下された曖昧な理由から推測して、正しい書類を揃えていくという数字当てゲームのHit&Blowみたいな問題を乗り越えて審査を通さなければならず、ここで諦める人がかなり多いんじゃないかと思っています。
この手の問題は多くのAndroid制作者がぶつかる問題であるため、何人かの先達が残したとても有益な記事が残されています。私も最初は記事を参考にすれば簡単にアカウント審査通るのではと思っていたのですが、そんな一筋縄にはいきませんでした。
色々と試行錯誤をしていった結果、無事に審査通過いたしましたので、2025年3月3日に審査通過した時にどのような準備をして、どのような書類を揃えたかを書いていきたいと思います。
本記事でわかること要約
(1)DUNSナンバーをgoogleが認識するまで3週間弱かかった。認識されるまでにDUNSナンバーを登録しようとすると「D-U-N-Sナンバーを検索できませんでした。もう一度お試しください」と紛らわしい表示でエラーとなる。
(2)組織認証に開業届を使うが、2025年からは受領印を押してもらえない。そこで e-Taxから開業届出して、そこに電子申告証明書添付したら審査通った。
(3)そもそもe-Tax経由で開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)はWeb版からできない。ソフト版をインストールして適切な追加インストール入れないといけない。
参考にした記事
今回、以下の個人Androidアプリ制作者の記事を参考にGoogle Developer登録を行うことにしました。
これを見ると、「公開用の住所としてバーチャルオフィス借りて個人事業主になって、DUNSナンバーを取得して、開業届を組織証明書類に使えばよい」ということがわかると思います。1行で終わるのでさも簡単に終わるかと思いきやそんな一筋縄で終わるものではなかったので、本記事はその補足として悩んだ点を書いていきたいと思います。
・Googleディベロッパー確認の勢いで個人事業主を開業した話(ギガビットさん)
https://note.com/gigabit_million/n/n9ae2c315ed16
・【ユーザー投稿】個人事業主が「組織」として広告主様の適格性確認(身元確認)をする際に必要な書類について(Google)
https://support.google.com/google-ads/thread/232277335?hl=ja&sjid=13357809096009802841-NC
具体的に詰まった点と解決方法
Google Developerアカウントは1つのGoogleアカウントにつき一つまで。個人登録したアカウントを組織に変更することはできない。
私がはじめてGoogle Developerに登録した時は、うっかり個人として登録してしまいました。一度登録してしまうとそのアカウントは組織に変更できません。更に一度登録してしまったらGoogle Developerアカウントを削除できなくなるので、問い合わせフォームから削除申請をして、反応を待ちましょう。
別アカウントでビジネス用アカウントを作ることを勧めている資料が多かったので、この際作ってみてもよいかもしれません。
・お支払いプロファイルを「個人から組織」または「組織から個人」に変更する方法(Google)
DUNSナンバー申請してからGoogleが認識するまでに20日もかかった
参考元の記事を読む限り、以前は1週間ほどで取得できたはずのDUNSナンバーですが、私の場合は申請してからGoogle Developerのお支払いプロフィールで使えるようになるまで20日もかかりました。こんなかかるとは思っていなかったので、本当にDUNSナンバーの登録が間違っていないのか不安な日々を過ごすことになりました。
具体的には以下の時系列です。
2/04 DUNSナンバー申請
2/12 DUMSナンバーで自分を照会できることを確認
2/17 DUNSナンバー登録完了メール受信
2/24 DUNSナンバーをgoogleが認識して組織アカウント登録可能になった
登録時のメールで書かれていましたが、Android対応やiPhone対応で私と同じようにDUNSナンバーを取得する人が急増しているため、登録作業が遅れているとのことでした。やはりみなさん同じことで苦労されているようです。
ちなみに、DUNSナンバーをgoogleが認識していない場合、お支払いプロファイルの登録時にDUNSナンバーを記入すると「D-U-N-Sナンバーを検索できませんでした。もう一度お試しください」というエラーが表示されて先に進めなくなります。
もう一度お試しくださいと言われたので何度か検索したのですが変わりませんでした。
大変紛らわしいのですが、この場合はgoogle側がDUNSナンバーを認識できていないということになります。
日本側でDUNSナンバーを正式登録してから、これをgoogle側が一定間隔で取り込むことによって、はじめてgoogle側で認識されることになるようです。
開業届の受領印は2025年から押されなくなったため、e-tax経由提出した開業届とその電子申請証明書を添付して提出したら通った
DUNSナンバーが無事にGoogle側で認識されれば無事にアカウント開設となるのですが、ここからの組織証明書類の提出が鬼門でした。
まず、組織証明は受領印付の開業届を出すことが望ましいとされています。
・Google Play Consoleのデベロッパーアカウントの確認は、氏名の修正と組織確認書類を開業届にしたら解決した(こぽたる・ファクトリーHP)
https://www.copotal-factory.jp/develop28/
しかし、2025年からは申告書提出に対して受領印を押さないようになりました。私も実際に税務署に開業届を出そうとしたのですが「提出しても受領印はないですよ」と言われてしまいました。
・令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm
> 令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行いません。
> 書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)していただきますよう、お願いいたします。
と、こうなると今まで使われていた受領印付開業届の控えは手に入らなくなるため、組織証明を使うことができなくなてしまいます。
どうすればよいかGoogle側に問い合わせてみたのですが、具体的な回答はありませんでした。
一応、e-tax経由で開業届は提出できたので、そこで作成した開業届を提出したのですが、必要なページが不足しているという理由でリジェクト。開業届は1ページしかないのだから、ページは揃っているはずなのですが、謎です。
ちなみに、確定申告書類には屋号も事業所の住所も書かれているため、この書類を証明書類として提出したのですが、求める書類ではないという理由でリジェクトでした。
こういった本人確認書類の試行錯誤を続けていたのですが、ついに上限値を越えてアカウント停止になってしまいました。慌てて問い合わせフォームから再申請のお願いをして無事に復活したのですが、ここまで来るとさすがに参ってしまいます。
これは詰んだか・・・!と思っていたところ、開業届の受領印の代わりに電子申請証明書を添付すればよいのではということに気が付きます。
また、私の住所には「大字」と呼ばれる、今では廃止されて省略可能になっている住所がありました。開業届にはこの大字を省略して書いていたのですが、身分証明書の方にはこの大字が書かれていたことに気が付いたので、そこまで開業届に添付して記入したところ、無事に審査に通ることができました。
おそらくこの記事を読んでいる方も同じように開業届を組織証明書類として添付するかと思うのですが、同じように苦労されることかと思いますので、以下に開業届に書かなければいけないチェックリストを書いておきます。
組織証明のために開業届に書かないといけないことチェックリスト
▢屋号にはDUNSで登録した英字の屋号を日本語に併記して記入すること。例えば作っちゃうおじさん(TUKUCHAU-OJISAN)と書くこと。
▢住居用住所だけでなく、事業所の住所も記入すること。
▢住所は身分証明書と全く同じ表記にすること。例えば大字などの表記も省略しないで書くこと。
▢開業届の後ろに電子申請証明書もpdf結合すること。
ともあれ、この審査さえ通れば晴れて組織アカウントでGoogle Developerに参加できることになります。お疲れ様でした。
上記ではe-tax経由での開業届の出し方に特に言及しませんでしたが、実は開業届をe-taxで提出する方法自体も苦労します。ここからは開業届をどうやってe-Tax経由で提出できるのかについて説明します。
開業届ってどうやってe-Tax経由で出せるの?Web版ではできない?ソフト版のみ?
開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)をe-Taxで提出しようと思い、「e-tax 開業届」と検索すると、電子申告の開始提出のページが見つかれど肝心の開業届の出し方がわからないという問題があります。
また、2025年2月現在、確定申告でよく使うWeb版e-Taxのどのページを探しても開業届のページを発見することはできません。

関連検索を見るとまさに同じような悩みを持つ人が多いようで、「開業届どうやってe-taxで出せばいいんだあああ!」と多くのユーザーが悩んでいることがわかります。

実は開業届はWeb版から提出するのではなく、e-Taxのソフト版をインストールして使わなければいけないのです。
e-Taxソフトはこのページからダウンロードできます。
e-Taxソフトについて
https://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoft/index.htm
インストール中から、「なんか古いWindowsで見たインストーラーだな」と不安になるでしょうが、まさにその通りで一昔前の風情を持つ一昔前のUIで私たちを出迎えてくれます。アイコンも昔のドット絵風味です。

起動すると、追加インストールを求められるので、ここから「個人事業の開業 廃業等届出書」に関する資料を追加インストールします。

追加項目から申請の中にある所得税を選択して追加インストールしてください。
そうすると個人事業の開業 廃業等届出書を申請できるようになります。
この項目を発見するのに私は半日ぐらい溶かしてしまいました。面倒であれば全部一度にインストールしたいところですが、追加インストールは一項目あたりえらく時間がかかりますし、権限許可をいちいちクリックで承認する必要があるので非現実的です。

おそらく、このe-Taxで開業届の出し方自体、あまり周知されていないようなので、この記事で多くの悩める個人事業主を助けることができれば幸いです。
追加インストール完了後の具体的な作業方法は以下ページが参考になりました。このページのおかげで無事に開業届の作成ができました。
・オンライン申告(電子申告)で税務署に行かずに開業届・青色申告承認申請書を提出しよう!
https://granvi.jp/business/notification-opening-business-by-etax/
これで開業届の提出ができるため、DUNSナンバーに登録した屋号の英字版が書かれていることを確認して、提出してください。ちなみに、ソフト版e-TaxはWeb版と異なりスマホ認証はできず、昔みたいなICカードリーダーが必須になります。めんどくさいですが買いましょう。
自分はこのACR39-NTTComを買いましたが、今見たらものすごく値上げしていたので使えそうな代替品を各自探してください。
ここで提出後に、電子申請証明書の申請ができるので、申請した結果をpdf化して、先ほど提出した開業届の末尾にpdf結合ソフトを用いて結合して2ページにして提出したら私の場合は審査が通りました。
ちなみに、e-Taxへ通信するためのAPIは事業者向けに公開されているようなので、新規で開業届を提出しようとするらば、Freee開業届やマネーフォワードの開業届を使うと簡単にe-Taxへ送信することができておススメです。ただ、上記の開業届作成送信ツールは新規開業者の囲い込みのために作られたソフトであるため、開業年が昨年からしか選択できないようになっています。すでに開業されている方だと誤った開業届を提出することになり、使わない方が良いと思います。
まとめ
ここまで読んでいただければわかるかと思いますが、個人が組織としてGoogle Developer認証を取ろうと思ったら 振り落とされる障壁があまりにも多すぎるという問題がご理解いただけるかと思います。
私の場合、なんとかアカウント取得ができましたが、またしばらくすれば今とはご時世が代わり、更に別の課題が出現することでしょう。
その点Apple Developerは想像以上に早く登録申請ができ、わずらわしさがなかった点が良かったです。
どちらにせよ、まずは待ち時間の長いDUNSナンバー取得から始めていただければと思います。