こんなゲームを作りました
物理演算パズルで強力な武器を合成せよ!
・・・という、マージ系パズルゲームを制作しました。
https://hothukurou.com/game/Weapon/index.html
物理演算ゲーム+武器をくっつけてより強い武器を作る。その武器で敵を蹴散らすRPGとパズルゲームを合わせたような内容です。
一見すると、この記事のタイトルとは関係ないようなゲームですが、このゲームにはある重要な裏テーマが隠されております。
本記事ではゲーム内でその重要な裏テーマに直面した方が、最後の選択でどちらを選んだのかを集計しています。
まずは、このゲームの製作秘話を振り返り、そのあとで集計結果を書いていきます。
集計結果だけ見たい方はスクロールして下の方をご覧ください。
制作過程をふりかえる
物理ゲーって基本的に面白い・・・はず
手軽に遊べる面白いゲームのシステムの一つとして、「実際の世界のように物体が動いていく世界の中で遊ぶゲームってなんか面白い」というものがあります。
このような衝突処理のための計算を物理演算というのですが、今回はこの物理演算ができるライブラリmatter.jsというものを導入して、物理ゲーを作ろうと思い立ちました。
こういう物理挙動を実際に動かすと、なんだかワクワクしてしまうものです。
いくつになっても、こういうワクワク感と好奇心は忘れないでおきたいものです。
で、計算部分はどうにかなったので、この計算結果を私が普段使っている描画ライブラリPixi.Jsで表示しているわけです。
難しい話になりましたが、簡単に話すと「物理演算計算させる部分と画面表示される部分をくっつけたよ!」という話です。今後もこの統合システムを使いまわせるようにしたので、どんどん使っていこうと思っています。
さて、実際にここからいろいろ試行錯誤をしていくわけですが、問題発生です。思ったよりも面白くなりません。
ここから悪戦苦闘が少しばかり続きます。
マージ系パズルというジャンル
面白いと思うゲームの構成要素って結構シンプルだと思っていて、「倒す・壊す・爆発する・落とす」と「強くなる・大きくなる」、「試行錯誤させる」が多いと思うです。
恋愛ゲームとか、ストーリー重視のゲームだとこれに「続きが見たい」という欲求が加わると思うのですが。
で、今回作成した物理演算ゲームシステムをどう生かそうかと考えていて、ハイパーカジュアルゲーム制作者のウェレイさん(@weray166) に相談したところ「マージ系なんてどう?」というアイデアをいただきました。
ウェレイさんは過去にマージ系パズルの構想を考えていたようで、その時に調査したそのマージ系パズルの文脈について教えてもらいました。
マージ系といえば、Threes!というゲームを元祖とする、「同じ数字くっつけて大きくする」パズルゲームです。
特に2048はオープンソースで公開されているだけに、皆さんも一度遊んだことがあるのではないでしょうか。
このマージ系ジャンルは、この後爆発的に拡散され、そのフォロワーとなるゲームがどんどん生み出されて行きました。
例えばマージパズルを落ちゲーで追加していく2048 Bricksがその一つです。これは、上から数字ブロックを落として同じ数字を合わせるマージ系パズルとなっています。
そして、この落ちゲーマージパズルを進化させたものとして、 合成大西瓜というものがあります。
これは、「数字ブロックではなくフルーツ」「どこでも落とせる」「物理演算を適用」という点が新しく、中国で爆発的に流行したという話をウェレイさんから教えてもらいました。
今回私が制作したゲームはこの合成大西瓜をさらに発展させて「武器は四種類」「武器合成させて強くなる楽しさ」「RPG的成長要素」を加えてより楽しみやすくしたものです。
武器は「剣・打撃・槍・斧」の四系統から選べて、それぞれ強くするとビジュアルがどんどん変化していきます。楽しそうでしょう。
みんなドラゴンクエストモンスターズの魔物配合やメガテンの悪魔合体が好きなのだと思います。
手持ちのものを組み合わせてより強くてかっこいいものを作り上げることがみんな大好きなのです。
この好きの部分をどんどん強めることができるかもという目的で武器合成ゲームにしました。
この武器合成ゲームは先人たちのアイデアがあってこそです。改めて、ここに敬意を表したいと思います。
面白さの追求
さて、最初は四角形で武器を設定していたのですが、そのうち丸の方が面白いことに気が付きました。丸の方が複雑に積みあがるので意外性があったのですね。合成大西瓜がなぜ丸にしたのかという理由がわかりました。
また、武器ブロックの色はきちんと系統ごとにわけることにしました。こちらの方が識別しやすく、合体させやすいですね。
強くなった武器を使って、実際に魔物を討伐できたら最高ですよね。
ということで、討伐パートも作りました。自分が育てた武器がどれほど強いのかを実際に確認できるシーンです。
勇者ご一行が大行列となって、魔物たちを蹴散らすのはみていて爽快ですね。
構想時からこのビジュアル絶対に面白いと思って作ってみたのですが、これは大正解でした。
敵を倒してGoldを稼ぐと、そのGoldで武器の初期レベルをどんどんあげていくことができます。
また、武器ブロックを入れる釜もどんどん大きくできるので、より効率的に強い武器を作ることができます。
これで一通り、「繰り返し遊びたくなる成長要素」を入れることができました。
たまに敵がレアドロップで「武器の倍率を上げられるソウル」というアイテムを落とすようにして、「特定の武器倍率が強くなることで、プレイ感に変化を出す」という工夫もいれてみました。
プロトタイプ制作後のテストプレイも好評だったので、このまま仕上げてプレスリリースを書いて無事公開となりました。
P型色覚・D型色覚の方でも区別ができる色の工夫
ちなみにこの武器の色ですが、色覚多様性の方から区別が難しいとのお話をいただいたので、色調整を行っております。
PhotoShopを用いると、なんとP型色覚・D型色覚がどのように見えるのかを再現できるんですね。
この機能にとても助かりました。
暖色系の色が区別しずらい一方で、青系の色は区別しやすいようだったので、今回は緑に青を加えて区別しやすくしています。
最後の重要な選択、集計結果公開!
さて、ここからはこのゲームの重要なネタバレとなります。
一度プレイした上でこの文章を読むことをお勧めします。
このタイトルの女の子、レベルアップしていくにつれ徐々に心を開き、あなたに笑顔を見せるようになります。
リザルト画面で、良い成果がでると笑顔で迎えてくれるのです。
そうして成長していった女の子ですが、レベルアップが最大になると特殊なノベルパートが発生します。
「このゲームの世界から飛び出したい。」
実際に世界の果てに到達すると、女の子はゲームの世界から飛び出し、あなたが住むこの世界と同等の世界へ飛んで行ってしまうのです。
そこであなたは、重要な選択を行います。
「女の子を次の世界へきちんと見送る」のか。
「このゲームの中に居続けてほしいから、またゲーム内に女の子を再構成する」のか。
あなたは、どちらを選びましたか。女の子を見送ってしまうと、金輪際女の子は登場しません。タイトルからも消えてしまいます。
さて、集計結果です。
まずは、事前の選択肢でどちらが多く選ばれたのかを集計してみました。
この会話は「シーマンみたいに、質問を投げて答えるようになると、親近感がより深まるのでは」という仮説に基づいていれてみました。
・集計期間:2021年10月24日~2021年10月25日
・あなたは子供、それとも大人?
子供:51.1%
大人:48.8%
誤差みたいな差しかないので、ほぼ同じですね。子供も大人も遊んでもらえているようでうれしい限りです。
・毎日は楽しい?それともつらい?
楽しい:62.4%
つらい:37.6%
楽しい毎日を送っている方が多いということがわかりました。嬉しい結果ですね!
さて、ここからが本題となります。
・女の子を見送る?再構成する?
再構成する:60.7%
見送る:39.2%
作者の予想と反して、再構成する派の方が多いことがわかりました。
まあ、ゲームとしては再構成する方が「何度でも女の子と会うことができる」というメリットがあるので、その選択をされた方が多いのかもしれません。
コメント欄にも「見送る方にメリットが欲しい」と書かれていましたし、単純に物質的損得関係だと再構成する方がよいのは確かです。
女の子を見送ってしまうと、タイトルにもリザルト画面にも女の子は出てこなくなってしまいますからね。
ただ、見送るを選んだあなた、とても素晴らしい決断をされたと思います。
ゲームの中の女の子はゲームの世界から飛び出し、あなたと同じ世界にいるかもしれません。
そして、あなたへの感謝を思い出しながら新天地での生活をはじめていることでしょう。
あなたは、その感謝を自己満足的に感じていればよいのです。
目の前にいなくても、満たされていることこそが、真に孤独から救われる道なのだと思います。
・・・と、そういう裏テーマを考えて本ゲームの裏要素を制作していました。
この問いかけもまた、自己満足の一つでしょう。
ちなみに、このゲームのクリア率も集計しました。
・クリア率
25.2[%]
前作の「旧校舎とからんころん 無限進学編」のクリア率よりも高い結果となりました。
プレイ時間は同程度と予想されるので、「ゲームの面白さでうまく最後まで遊んでくれることができた」ということなのでしょう。たしかに、試行錯誤しながら繰り返しプレイする楽しさは今作の方が高い気がします。
もしかしたら、女の子の笑顔の効果もあるかもしれない・・・!
まとめ
以上で、「マモノを蹴散らすために強い武器が必要だ」の振り返りを終わります。
物理演算ゲームはこれからも時々制作していく予定なので、もしよければ遊んでもらえると幸いです。
それでは!