旧校舎とからんころんのクリア率集計&振り返り

亡霊と戦うサバイバルサイコロRPG

2021年9月こんなブラウザゲームを公開しました。

https://hothukurou.com/game/DiceEscape/index.html

そろそろまたRPGっぽいテーブルゲーム風のゲームを作りたいな、敵と戦って徐々にサイコロを強化していくゲームを作りたいな、と思って制作しました。以下、制作前の構想を書いていきます。

後半にはクリア率集計データをまとめていますので興味ある方は最後まで読んでもらえると嬉しいです。

制作の流れ

以前、ミツデススレイヤーという数字カードを用いるシンプルなデッキ構築ゲームを公開して、これがそこそこ好評だったので、今回も似たような能力成長系のテーブルゲームっぽいものを作ろうと考えていました。

https://hothukurou.com/game/ThreeCardRPG/index.html

今回、ホラーテイストのゲームにした理由は「生死をかけたサバイバルでサイコロを振る」という光景が面白そうかなと思ったからです。あと「旧校舎に取り残されたかつての生徒」という世界観がなんかイケてるなと。

サイコロも展開図にすると十字架になって死者を連想するので、ホラーの世界観に有機的につながりができてよさそうだったのです。

・当時のツイート

ゲームシステムは「生徒を選んでサイコロの大きさで戦う」「上級生ほど強いサイコロを持っている」「二回連続で負けたら亡霊の仲間入り」という誰でも理解可能な構造にしてとっつきやすくしています。

上記のツイートをした時にはもうこのくらいの構想までは考えていました。

上級生に勝つためには「勝ったら相手の好きなサイコロと交換できる」という成長要素を用意。これにより、「リスクを冒して上級生に勝負を挑んで大きなリターンを得る」というかけひき要素が加わり、より一層面白くなるだろう、という想定でした。

ゲームも10分くらいでクリアできることを想定。頭を使って何度も試行錯誤するようなゲームを目指して制作しました。

で、実際に制作してまずは「必要最低限にゲーム一連の動作が遊べるもの」を作りました。いわゆるプロトタイプです。

プロトタイプを作ると色々と見えてくるものがあります。この課題を引っ張り出して面白さに確信を持つことがプロトタイプ制作の目的です。

今回は「上級生に勝つのかなり厳しい。運要素多すぎて戦略性ない」という課題に気が付きました。

サイコロを振るのは運要素が多く、これは面白味にかけるという課題でした。これではいけなiい。

これを解決するために「もっと別ベクトルに成長要素を増やして、どの成長を行うかで戦略要素を作ろう」と考えました。

これにより、ボーナス要素の概念ができあがりました。

3回亡霊との勝負に勝つたびに「命の数を増やして、ゲームオーバーにならない連敗数を増やす」か「合計値に加算される基礎点を1増やす」か「ゾロ目の時に+2点加算される」ボーナスのどれかを選択することができます。

この3つの選択は、それぞれ独立した戦略を生み出します。

命を増やせば、運試しの回数を増やせるため、より極端に数字が偏ったサイコロを使うことができるようになりますし、基礎点を増やすとより安定的に点数を得ることができます。

そして、何より「ゾロ目で得点が高くなる」というボーナスを入れたことで「同じ目が多いサイコロを集める」ようになります。

実際にこのボーナス要素を入れて遊んでみたことで、サイコロの選び方に幅がでてきたことを確認し、ようやくゲームの面白さに確信が持てるようになりました。

ちなみに「ゲームを楽しんでもらう」目的においてなぜ運ゲーよりも戦略性が必要かという個人的考察を付け加えます。

これは「自分がゲームを操作している感覚」という主体感が高いことがゲームを続けるための一つの要素となっているからだと思います。

自分が主体的に考えて、行動した結果がゲーム内に反映されていることで、プレイヤーはこの結果から次の行動を考えて動かし続ける、というプレイを続けることができるのです。

この要素なしにゲームを楽しませるためには「シナリオや世界観を作りこんで没入感を高める」方法がありますが、 今回はシナリオの没入感はそこまで高くならないと思っていたので、主体感を高める方法を選んだというわけです。

さて、話を戻します。

プロトタイプでゲームの面白さに確信が持てたため、更に作りこみました。そして、slackやdiscordなどの限定された空間でテストプレイをお願いしていました。

テストプレイにより、「どこで詰まったか」「どこが理解できないか」「どこで飽きたか」が明確になります。

その結果をうけてUI調整をしたり、難易度調整をしていきます。

そして、公開できる状態になったところで、関係各所にプレスリリースを送って、完成です!

次の日に続編を作成する

このシステムが結構好評だったため、そのシステムを丸々流用してプレイ時間30分~1時間になるような続編をさっそく製作開始しました。

システムを流用しつつ、3学年+ラスボスしかいなかったステージを42ステージまで拡張。ボーナス要素もかなり増やしていきました。

ボーナス要素は、戦略性をさらに広めることができる内容を設定しました。

たとえば「最も低い数字をすべて+4」や「5の倍数になると+1」などです。

前作同様に特定のサイコロを集めたくなるようなボーナス要素を設定しています。これがこのゲームの戦略の肝となるように設計しました。

サイコロも数字に変更して、6以上を表現できるようにしました。最初は●の数を増やして対応していたのですが、

あまりにも視認性が悪すぎたので没にしました。

おそらく6までのサイコロの目って、●の数をいちいち認識しているわけではなく、●の配置を漢字のような記号として理解して覚えているだけなのだなと思います。なので、7以降の●をこちらで作っても見慣れない配置にピンとこないのかなと思いました。

さて、そんなこんなで前作公開から2日後というハイスピードで続編である無限進学編を公開しました。

完成したゲームはこちら

https://hothukurou.com/game/DiceEscape2/index.html

やりこみプレイヤーの底力

そうして公開した無限進学編ですが、公開から一日で最適解を発見して最短クリアした方が4名もいらっしゃいました。これは驚異的なことです。

前作もその日のうちに最短クリア者が現れていたので、作者もびっくりしていました。

作者も気が付かなかったのですが、とあるボーナス要素をうまく利用すると低確率でものすごく強いサイコロを作成できるため、最短クリアである42手クリアが可能になるようです。

コメント欄で解説があり、はっとしたことを覚えています。

ゲーム制作者としては自ら戦略を考えて試行錯誤する面白さが提供できたので、

設計がうまくいったことが確認できて嬉しい限りでした!

旧校舎とからんころん、クリア率測定

さて、ここからクリア率測定に移ります。

今回は2021年10/11~10/24 の二週間に、「クリアしたユニークユーザー数」を「タイトルを表示したユニークユーザー数」で割った値からクリア率を測定しています。

果たして、どれほどの方がクリアに到達したか!

旧校舎とからんころん

クリア率:36.4[%]

旧校舎とからんころん 無限進学編

クリア率:18.2[%]

1作目は1/3強の方がクリアしています。他の公開ゲームと比較してみると、平均的なクリア率かなと思います。

一方で続編の無限進学編は18.2[%]と低めに出ました。これは前前作である「チョコバーの中に指が入っていた話」の最難関エンドクリア率33[%]よりもかなり低い数値です。

チョコバー指のゲームはノベルゲームなので「主体感」による効果よりも「世界観とシナリオで没入させる」という効果がうまくっいったのかもしれませんね。

無限進学編自体のクリア率の低さについて考察すると、戦略を誤るとサイコロの数字を増やすことが難しくなり、中盤に詰まってしまう問題があります。その影響でクリア率が落ちてしまったものと考えられます。

ちなみにヤンデレ彼女のおうちに呼ばれたらも完全クリア率は2021年10/25現在、18.2[%]です。

こちらは完全クリアするためには旧校舎とからんころん以上に難易度が高く、「本気でやらないとクリアできないゲーム」なのでもっと低い数値になりそうではありますが、

ヤンデレ彼女は「世界観とシナリオで没入させる」効果を高めるように設計しているので、高い難易度による離脱を抑えられたのかもしれません。

https://hothukurou.com/game/Yandere/index.html

まとめ

以上で、旧校舎とからんころんのふりかえりとクリア率公開のまとめを終わります。

ちなみにこのタイトル画面、実写取り込みの旧校舎写真の背景に夕雲が下から上にぐわんぐわんと動いているのがとてもインパクトがあって個人的に自信作です。

一度でもクリアすると、哀愁漂うBGMがつくのも心地よいクリア後感覚になっていいなあと思っています。