導入
ゲームのノベル部分、ちゃんと読んでますか。やっぱり飽きて飛ばしちゃいますかね?
youtubeやゲームなど、気楽に遊べる娯楽が溢れているこのご時世、ゆっくりとノベルを読むことってどんどん少なくなってきているではと思います。
文字主体で娯楽を提供するブログの面白記事についても、最近は「画像を多くして、あまり文章を読まなくても理解できるようにする」ことが求められるようになってきました。
そのようなご時世の中で、1本のノベルゲームを公開しました。
チョコバーの中に指が入っていた話というゲームです。文章主体のノベルゲームで勝負した訳です。
どうですかこのタイトル、キャッチーなタイトルでしょう!
初見で強烈なインパクトを与えるようなタイトルにしています。チョコバーから指が出ていれば普通びっくりしてしまいますよね。
実際はグロい描写がほとんどないので安心して遊べるホラーゲームです。
「謎のチョコバーを買い漁ってチョコバーを集める友人を止める」ことが目的です。そのために何度もバッドエンドを見ながら能力を上げていこうという内容です。
今回はこのノベルゲームをきちんと最後まで遊んでもらえるための工夫をまとめました。
そもそもこのゲームを制作する動機がノベルゲームをきちんと読んでもらうための工夫を思いついたので試してみようというものだったのです。
施策の前後で数値検証できていないため、実際に効果がどれほどあったかはわかりませんが、
結果としてこのゲームの最難関である友達生還エンド「END28」の到達率は35%でした。
分岐が多い高難易度ノベルとしてはそこそこ高めの数値を獲得することができました。
最難関エンド突破率を集計する
今回ノベルゲームを制作するに当たり「ノベルゲームに出てくる選択肢、その選択を選んだ人数を計測しよう」と決めていました。計測する時は「選択した回数」と「計測した人数」の両方を測っています。
「計測した人数」は同じ人が10回同じ選択肢を選んでも、1人としてカウントするようにしています。ユニークユーザー数ともいいます。
今回は「ゲーム最初に必ず選ぶ選択」を選んだ人数から「最難関の生還エンド28の選択」を選んだ人数で突破率を計算することにしました。
本当は全てのエンディングを見た人だけが到達できる「真相エンド32」を基準にする方がよかったのですが、あいにく取りそこねてしまいました!あのエンディングだけは選択肢から飛ばないからね!うかつ!設計ミスでした!
まあしゃあない。
その突破率を計測した結果が35%ということです。100人プレイしたら35人がそのエンディングに到達したということなので、これは思ったよりも高い数字でした。
さて、これからは工夫点を書いていきたいと思います。もしかしたら一つくらいは参考になるアイデアがあるかもしれません。お役に立てれば幸いです。
ちなみに大前提として「胸を張れるくらい面白いシナリオである!」という気持ちで作っています!
本ページは、これに追加して仕組みとしてどのような機能を追加してプレイのワクワク感を維持しているかについて書いています。
突破率を上げるために工夫した機能
スキルポイント制の導入
本ゲームでは、普段ノベルシステムでは見かけない「スキルポイント制」を導入しています。
このスキルポイントは「選択肢を選ぶ」ことや「バッドエンドをみる」ことで増えていきます。
積極的にゲームを進めていくと、ご褒美としてこのポイントをもらえるようにしているのですね。
このスキルポイントを使えば主人公の能力がパワーアップでき、より多くの選択肢を選ぶことができるようになります。
以下の画像では、嫌悪というパラメータが1以上あれば、下の選択肢も選べるようになります。
どんなシナリオ展開になるのか、ワクワクしますね。
このスキルポイント制導入によって、「バッドエンドを収集する楽しさ」と「ポイントを獲得してパラメータを成長させ、新しい選択肢を選べるようにする」という2つの楽しさを追加することに成功しました。
具体的に説明しますと、以下2つの効果が期待できます。
(1)ポイント獲得をモチベーションにシナリオを進める事ができる
成長を表す数字が増えていくと、基本的に人は喜びます。そういうものです。
ポイントはパラメータ向上に使うことができて、それも楽しいです。
そして、その向上させた能力で新しい選択ができるようになります。これも、ワクワクですね。
能力を上げて、新しい領域へすすめる事ができる。RPGと同じ手法をノベルゲームに転用したことになります。
(2)選べる選択を狭めることで、迷わせずに進めていくことができる
人間、一度に多くの選択肢を与えられすぎてしまうと、どれにしようか迷ってしまって全く進めなくなることがあります。最悪、それがゲームを辞めてしまう原因にもなってしまうのです。
あまりにも1本道では操られている感が出てしまって興ざめしてしまうものですが、常に選択肢は2~3個程度にとどめておくとよいようです。
ちなみに次の対策も、選択肢を選ぶリスクを可能な限り小さくするものです。
一つ前の選択肢に戻る機能
選択肢を選んだ後「あ、やっぱり逆を選べばよかった!」と思うリスクを減らすための工夫です。
この機能を追加するまでは、一度バットエンドを見たら最初から選択をやり直すという仕様にしていたのですが、これではあまりにも序盤が面倒になるので、この機能を追加しました。
これは追加して効果がありましたね。
PS版かまいたちの夜ではシナリオフロー図を表示して、戻りたいシナリオを自由に選択することができましたが、アレを実装するのはあまりにも時間がかかりすぎるので、それを採用せずに代替案としてこの「一つ前の選択肢に戻る機能」を実装しました。
「一度体験したルートを簡単に移動できる仕組み」はノベルゲーム必須ですね。今回は「一つ前の選択肢に戻る」という簡単な機能に留めましたが、これがあると遊びやすさは断然違います。
めんどうになって飽きてしまうリスクを下げることができるでしょう。
ちなみに、「一つ前の選択肢に戻ると、今どこまで進んでいるか想像しにくくなる」という問題点がでてきたので、解決策として画面上部に進捗度という棒グラフを表示しています。
これがあると、「ああ、終盤まで進んでいたけど、中盤くらいまで戻ってきたんだな」ということがわかるようになります。
選択肢の先にあるバッドエンド到達済か確認できる機能
先程の「面倒さを下げる」仕組みとして、選択肢の先にあるバッドエンドを到達済か確認できるようにしています。
上記画像の場合は「この選択肢の先は全部END回収済みだよ!」と親切に教えてくれるわけです。
これにより「選択肢を埋めていった!」という達成感を与えつつ、「新しい選択肢を常に選び続けることができる」ことができます。
今回のようなバッドエンドがたくさんあるゲームでは、一度選んだ選択をユーザーに伝えることで、プレイのストレスを軽減させて、より楽しく簡単に新しい選択肢を探してもらうことができるようになるでしょう。
スキップ機能
今の時代、ほぼ全てのノベルゲームについているであろう、スキップ機能です。まあ、これは標準機能になるのかなと思うのですが、一応書いておきます。
今回のノベルゲームでは「スキルポイント制」と「バッドエンドを収集する楽しさ」の2つでゲームの楽しさを与えています。スキップ機能はゲームの試行錯誤をしやすくしてくれるため、この2つの楽しさに貢献できる要素として機能してくれました。
本当は未読スキップ機能を実装するとより遊びやすくなるのですが、辿ったノベルの記録処理が間に合わなさそうだったので見送りました。
まとめ
以前作成したノベルゲーム「チョコバーの中に指が入っていた話」の突破率についての話と、
突破率をあげるために工夫したことのまとめを行いました。
本ゲームは、ノベルゲームの面白さ以外にRPG的なパワーアップ要素が入っている点が特長なのですが、
今回ご紹介した工夫点がうまく絡み合ったおかげで、本ゲームの面白さを引き立ててくれたようです。
この記事がノベルゲーム製作時の参考になりましたら幸いです。
もし興味があれば、ぜひこのゲームを遊んでもらえると嬉しいです。
チョコバーの中に指が入っていた話
こちらから遊べます。