100字小説(2) ~荒上先生の名著を探究する~

みなさんこんにちは

ヨーロッパの街並みから失礼いたします。

作っちゃうおじさんです。

今回は、100字小説会のメンバーであります、荒上 理紗斗 (あらがみ りさと)先生から寄稿がありましたので、この場を借りて掲載させていただきます。

荒上 理紗斗 (あらがみ りさと)先生のtwitter はこちらからどうぞ

どうぞ、午後の紅茶(ロイヤルミルクティー)でも啜りながら、ゆっくりと、お楽しみください。

【後悔】


何年も前の記憶、ふと頭によぎる

あぁ俺は今もまだ、過去に囚われているんだ…

もう忘れようと決めたのに

頭にこびりついた記憶の残渣が今も私を苦しめる

今朝も不快な目覚めのワースト記録を更新しつつ重い体を起こした


[想起させたい感情] 苛立ち

自分が過去に書いた曲の歌詞をもとに、小説の書き出しっぽい何かを作ったらこうなりました。
忘れたいけど忘れられない出来事、誰にでも一つくらいはあるんじゃないでしょうか。


やってしまった

なぜ手遅れになるまで気がつかなかったのだろうか

どう足掻いても、もう一歩足りないみたいだ

馬に金を突っ込んだのが悪かったのか

今更後悔してももう遅い

私は覚悟を決めてこう言った

投了します…


[想起させたい感情] 驚き

先日競馬場に行ったことから思いついた一作。
ミスリードさせて最後に真実を明かすタイプの構成をと考えて作りました。
これに味をしめて、向こうしばらく将棋オチの作品をいくつか書きます。


えない恐怖に苛まれ

ねに周りを気にするようになった。

れど俺のせいじゃない。あいつがあんなところに行こうなんて言わなければ良かったのに…

だ後悔してももう遅い…


[想起させたい感情] 恐怖

作っちゃうおじさん氏のアイデアを拝借して制作。
やばいと思っている主人公は、実はもう追い詰められていた。


たった一度の恋をした

すぐに思いを伝えたけどあの子は転校してしまった

けれど、引っ越し途中、交通事故で亡くなってしまったと聞き

てがみを送ることはもうできなくなった


[想起させたい感情] 悲しみ

作っちゃうおじさん氏のアイデア拝借パート2。
ただの悲しい文章かと思いきや、少女の嘆きが加えられています。

【失恋】


並んで歩いたクリスマス

この小さな想いを
僕は隣にいる女の子に
伝える決意をした

「あ…あのっ」

「ん?」

「僕、キミのことが好k…」

「はい、時間です。お散歩デートプラン2時間で8000円になります」


[想起させたい感情] 同情 笑い

失恋というか、もはや恋をする段階まで行っていませんね。
最近、こういうお出かけしてくれるサービスみたいなのがあって、それなりの需要があるみたいですね。


席に着いた後、お互い無言になってから一体何分経っただろう

どうも私はこういう局面が苦手だ

この何とも言えない空気を紛らわす妙手があれば…

よし、ここで男らしさを魅せよう

私は意を決してこう言った

投了します…


[想起させたい感情] 苦笑い

このネタ二番煎じじゃん…と思わせるところまでがセット。

【猫耳メイド】


猫の手も借りたいとはよく言ったもので

私は今、ただひたすらに手が足りない。

だからと言って本当に猫を寄越す奴がいるだろうか。

勘違いしてないで欲しいが、断じて猫耳メイドのようなものではない。本当に猫なのだ。


[想起させたい感情] 興味 驚き

既にどこかの小説にありそうな感じがする一節。
実際に猫が手助けしてくれたら和みそうですよね。作業進まないけど。

【ホラーゲーム】


クリスマスの夜に、彼女とホラーゲームで遊んでいた

怖がる彼女と、男らしさを魅せようと虚勢を張る僕

こんな幸せが長く続けばいいな…

ふと横を見たらそこには誰もいなかった

よく考えてみたら僕には彼女がいなかった


[想起させたい感情] 恐怖 疑問

この人はきっと彼女が欲しすぎて、彼女がいる妄想をしていたんだ!きっと!(思考停止)


目の前にいる和服の男が怖い目で私を窺う

私は生き延びるために懐へ手を伸ばし

最後まで取っておいた「保険」を

震える手で打ち付けた

これでどうだ!私は勝利したのだ!

しかし目の前の人物がこう言った

「それ二歩です」


[想起させたい感情] 安堵 苦笑い

「しってた」「いつもの」となる鉄板ネタの安心感って、いいよね。

【12月】


今年の12月は平成最後の12月

特に何かあるわけではないが

適当に騒ぎたい若者には丁度いいネタだ

年越し直後、ふとSNSを見ると

「元号が変わる瞬間に立ち会えて感動!」

とか書いてある

おい、まだ変わってねぇよ


[想起させたい感情] 共感 笑い

きっと年越しに合わせて平成が終わると考えている人が一定数はいるんじゃないでしょうか?
それより、陛下は混乱を避けるために退位時期を決めてくださったのに
結局改元一か月前に発表すると決めた政府と有識者さんは、反省して、どうぞ。


なぜこんな体勢にしてしまったんだろう
数分前の自分を殴りたい

「だるまさんが転んだ」でウケを狙って
ジャンピング土下座を選ぶなんてアホ丸出しだ

それにしても何かがおかしい
なぜ私は未だに着地していないのだろうか


[想起させたい感情] 違和感

「だるまさんが転んだ」をやる際に、鬼役が振り向くのと同時にわざと変な体勢をとった経験、一度くらいはあるんじゃないでしょうか。
今回の作品では、鬼役が振り向いたのと同時に時間まで止まってしまったという設定で書きました。
他にも「急に地面に穴が空いた」「着地する前に死んだ」みたいに色々な解釈ができそうですかね。
ついでに書き出し部分の「数分前」という記述にも違和感を持っていただけると作者冥利に尽きます。

ハワイ


「先日ハワイに行ってきたんだ」

「ほぅ」

「水が温かくてね」

「南国だからね」

「でっかいウォータースライダーもあって」

「待ってくれ。多分だけどそれハワイアンズだ。福島県の温浴施設」

[想起させたい感情] 納得

「あ、そういうことね」的な感情を出したいなと思って書いた一作。
ちなみに私はハワイどころかハワイアンズにも行ったことがありません。

以上、荒上先生の著述でございました。

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