なぜホラーゲームを作り続けるのか

なぜ自分はホラーを求めていたのか・・・わかった気がする。

この記事は、ホラー制作意欲を高めたい!という人を対象に

自分が求めるホラーとは何か」を考えるという内容になっています。

見つけた!自分の作りたいホラー!

朗報です!遂にホラーゲームスランプ克服しました!

前回、「自分がいかにホラーゲームスランプに陥ったのか、解決策を求めて右往左往している記事」を書きました。今回は、この解決編となります。



ホラーゲームを制作する過程で、「人はなぜホラーを求めるのか」という命題にぶちあたりました。

なぜこんな命題にぶち当たったのかというと、ホラーゲーム作っても大して興味がわかないような作品ばかりできてしまったので、「楽しめるホラーとはなんだろう」と思ったからです。

ただ、いくら考えてもホラーゲームのアイデアは降ってこないまま、そこそこの月日が流れたある日、突然ある考えが浮かびました。

「あれ?自分はなんでホラーを求めているんだ?」

思い返すと、私は小学生のころから恐怖心霊特番が大好きで、「怪談 新耳袋」を全巻買って読んでいました。

インターネットが使えるようになると、深夜遅くまで「洒落にならない怖い話」や「都市伝説サイト」に釘付けになっていました。この原動力はどこから来るのか。一体ホラーに何を求めていたのか。少し考えてみて気が付きました。

平穏な日常・息苦しく凝り固まった組織が、超常現象等の非日常体験によって崩壊する事にとてもワクワクしていました。そのワクワクを感じたいから、ホラーが好きなのかも・・・!と気が付いたのです。

みなさんも、台風で停電になった日やお正月など、普段とは異なる雰囲気を体験した時、とてもワクワクしたのではないでしょうか。

この子供の頃のワクワクを再現できるようなゲームを作れば、自分が納得できるホラーゲームが完成するのではないか。

と考えている内にモチベーションがどんどん上がってきたので、早速ホラーゲームを二本作ってみました。

ホラーゲームスランプを克服した瞬間です。

・背後にとても嫌な気配がする

https://hothukurou.com/game/Yosumi/index.html

・知らない人がお母さんのフリをしている

https://hothukurou.com/game/Mother/index.html

ところで、子供の頃の不思議な話って、とてもワクワクしませんか?

大人になると、この世界のルールがなんとなくわかってきて、「超常現象なんて基本的にないやん!」ということがわかってしまうのですが、子供の頃はまだ日常と非日常が曖昧のまま過ごしていました。

そんな、怪異と隣り合わせの日常を描いた短編ホラーゲームです。皆さんも一度は考えたことがあるようなシチュエーションを厳選して制作しています。

ということで、現在の私のホラーゲーム制作モチベーションは、

「大人になって忘れてしまった非日常をもう一度思い出してワクワクしよう!」

がコンセプトになっています。私はホラーに日常を刺激するようなワクワク感を求めているのです。

三作目も誠意制作中です。

テーマはもう決めてありまして、「おはじきババアという言葉を覚えていると、おはじきババアが夢に出てくる」という内容です。

みなさん子供の頃に一度は聞いたことがある「覚えていると呪われる系」の話をベースにしたホラーゲームになると思います。ご期待ください。

(10/6 追記) 完成しました!ぜひ遊んでみてください!

おはじきババアが迎えにきた

https://hothukurou.com/game/Ohajiki/index.html

このように、ホラーとは何かに悩み、スランプに陥っているあなたも、自分の求めるホラーの源泉を思い出すとホラー制作が捗るよ!というのが今回の主題です。

もし、「自分がなぜホラーを求めているのか、興味の源泉が源泉がわからない」という方でも、次章で語る「タイプ別ホラー源泉」を一度確認してみると良いでしょう。自分がもとめるホラーとは何か、見つけることができるかもしれません。

ホラーを求める源泉

前回の記事でも、ホラーを求める三要素について書いていましたが、よくよく考えるとなんか違うなあと思いまして、これをアップデートした新バージョンをご紹介したいと思います。みなさんはどのタイプに入るでしょうか。

これ以外にもホラーを求める源泉はまだまだあると思うので、もし見つけたらコメント欄で教えてもらえると嬉しいです。

(1)直面した問題を解決する快感

「仕事首になったら・・・」「将来どうなるのか」等、人間は遠い未来の不安を漠然と抱えています。

この不安解消法として効果的な方法が、「直近の問題を解決する」ことです。

直近の問題が迫っていいる時、人は恐怖します。

「夏休みの宿題が終わらない!」

「明日プレゼンだけど、上手く発表できるか不安」

「明日クレーマーに謝りにいかなければ・・・」

そしてこの恐怖を突破した時、人は自信を獲得し、自己肯定感を高めることができるのです。

この自己肯定感向上の快感を、ホラーを求める源泉にしているのです。

この快感を達成するゲームを作るとしたら、「難易度を高くする」ことか「生還厳しい状況にする」とよいでしょう。

青鬼のような密室逃走系ゲームが良い例だと思います。

(2)不安の構造を理解して安心する快感

不安の要因を全て解き明かし、安心を得る快感を求めてホラーを楽しむことを指します。

ホラーゲームの結末が気になって仕方がない!とネタバレサイトをついつい覗いてしまう、なんて人はこのタイプが多いのかもしれません。

残虐描写を取り入れたり、悲惨な運命を匂わせる描写を用いて、「こんな残酷なことをする世界が、なぜ生まれてしまったのか。そしてどういう結末を迎えてしまうのか」という不安をユーザーに想起させ、ユーザーはこれを解消するために恐怖に突き進んでいきます。

怖いもの見たさ、なんて例はこの現象のことを指しているのでしょう。

この欲望を刺激する手法は、漫画広告で良く行われています。

「残酷な処刑シーンを想起させる描写」

「平穏が崩れる何かが起こる、そんな異変を匂わせる描写」

自分はあんまり好きではない方法ですが、パッと見で興味を誘発できるので、広告としては優秀な手法なんでしょうね。

(3)現状を打破する快感

凝り固まった人間関係、組織の軋轢で自己肯定感が低下した時、人知を超えた超常現象の力を体験することで、自己肯定感を回復するメカニズムを指します。

また、平穏な日常に飽き飽きしている時も同様に自己肯定感が低下しているので、未知の存在と接触することで自己肯定感を回復することもあるようです。

この感覚を最も共有できる例としては、思春期に訪れる代表的な例が中二病でしょう。

学校生活がつまらなくて、何かが変わるきっかけが欲しくて、夜中に神社をうろついたり、マンションの屋上に登ったり、マニアックな洋楽を聞いたりします。

上記の例では現実的な適応をしていますが、これが魔術やら妄想に切り替わると、怪奇の世界へようこそ!となる訳です。

大人になると、さすがに非現実的な妄想を行わなくなるので、突飛なことはしなくなりますが、ともかく人は「今の停滞した状況を打破するような強烈なきっかけ 」を欲しているようです。

この強烈なきっかけを、怪異によって引き起こすことで、不思議とワクワクするようなホラーストーリーが完成します。

ちなみに、私が今取り組んでるホラーゲームはこの快感を満たすことを目的に作っています。

大人になって非日常を感じなくなった今だからこそ、「子供の頃の不思議な体験」にワクワクを感じてしまうのです。

まとめ 自分の好きを思い出そう

さて、あなたがホラーを求める理由は(1)~(3)のどれでしたか。

自分が求めるホラーの源泉を知ることで、ホラーコンテンツへの制作意欲が高まるはずです。

自分の表現したいものはなんなのか、自分は何が好きなのか、今一度見返してみると楽しい創作ライフが送れるかと思います。

みなさんの参考になれば幸いです。

それでは、また!