はじめての音声配信の思い出

今から24年ほど前の小学1年生のころだったか。そのころにはじめて行った音声配信の思い出を話す。

音声配信と聞くと、youtubeのライブ放送を思い浮かぶ方が多いとは思うのだが、24年前の1998年にはそんなものはない。当時父親が仕事で使っていたwindows95についていたサウンドレコーダー機能を使った時の話である。

さて、このサウンドレコーダーはその名前の通り、録音ボタンを押すとマイクに入れた音声が録音されるというシンプルなものであった。

小学一年生の私にとって、このサウンドレコーダーはとても楽しいおもちゃの一つのように思えた。windows95には他にもソリティアやフリーセルなどの一人用ゲームが入っていたはずだが、当時の私には理解できなかったのである。

さて、このサウンドレコーダーを使ってめちゃくちゃ面白いことをしたい。それで弟やら両親に見せて爆笑を与えたい。どうしようか・・・。と小学一年生の頭で思考する。

そして、思いついた。自分が思う面白いものを全て録音しようと思ったのだ。

小学一年生が一番面白いと思うものとは何か、それは下ネタだ。

 

さっそくサウンドレコーダーに、自分のおならの音を録音させることにした。

 

録音ボタンを押す。「おなら」と元気よく発言し、そのあと「ぷぅ~」とおならの音を録音した。

うまくいった。録音前におならを貯めた成果だ。

そのあと、「パパイヤを食べたパパ、いや~」「コンドルがケツに突っコンドル」など、立て続けにダジャレを録音する。

こうして小学一年生の僕が面白いと思う最強の録音データが完成した。

さっそくこの音声を弟に聞かせてみる。大爆笑だった。

両親に見せても大爆笑だったので、やはり自分のセンスは正しかったのだと思った。

これが人生初の録音配信だ。youtubeなどなかった頃に、小学一年生にしてリスナーを大爆笑の渦に巻き込む成果が得られたのだ。大満足だった。

さて、こんなしょうもないことをしてから数週間後、すっかりこのことを忘れていた自分のもとに父親が報告に来た。

「お前のおなら録音、勤務先で同僚に見せたら大爆笑だったぞ!」

そう、父親はあろうことか、この録音データを自分の知らない大人の人に聞かせていたのだった。

たしかに、自分は人を笑わせるためにこの音声配信を行ったはずだ。しかし、自分の知らない多くの人に見られたとあっては、ふつふつと巻き起こる、複雑な感情が芽生えてきた。

この感情はなんだろう・・・。聞いてほしくないという感情が湧き上がってくる・・・。

 

その時、自分は人生ではじめて「恥」という概念を理解したのだった。